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「そこまで喜ばれんなら、誘った甲斐があるってな」
沖田の表情が、少し綻ぶ。
「あの、ネ」
そんな沖田に、Aはずっと気になっていて、聞き逃していたことを尋ねる。
「なんで最近、そーごは私に優しいアルか?」
少しの沈黙の後、沖田が口を開く前にAは続けた。
「だって、おかしくないアルか。
いつもキチクサドSバカヤローとか言われてたお前が急に変わるなんて。
あ、別にそれがヤダっていってるワケじゃないネ。
ただ、不思議で」
そう言ってじっと見つめながら答えを待つAを見つめ返して、沖田は目を細める。
「ちっと最近、本気出し始めたところでねィ」
「ホンキ?」
沖田は言った。
「誰だって 好きな女には優しくなるモンだろ」
「それって―――」
Aが言いかけたところで、扉が開かれる。
一周が終わり地上についたのだ。
「お疲れ様でしたー!
足元気をつけてご降車下さーい」
乗る時同様係員の指示に従い、2人は地上に舞い戻った。
「行くぜィ」
「あ……ウン」
言いかけて、聞けなかったこと。
―――『それって、どういう意味アルか?』
*
園内のイルミネーションは、エリア分けがされていて、それぞれ違うテーマが設けられているらしい。
せっかくだからぐるっと見て回ろうと決まり、歩く2人の間にほぼ会話はない。
光で覆われたアーチをくぐり、進んでいくと段々人数が少なくなってきた。
更に奥の方へ足を進めれば、そこにいるのはAと沖田2人だけになった。
何となくAが黙ったままでいれば、沖田も黙っている。
メインエリアから離れたこの場所は静かで、そんな中続く沈黙に耐えられなくなったAが口を開いた。
「ここも綺麗アルな。
誰もいなくて、穴場って感じネ」
「そうだな」
沖田からも、短い返事が返ってくる。
Aは頭の中で次の話題を探して、また話しかけた。
「それにしても、知らなかったネ」
「何がでィ」
「さっきの、好きってやつアル!
あれってつまり、そーごが知ってる女子の中で私が一番の友だちってことダロ?」
観覧車の中で言いかけたことを今更聞き直すのも気が引けて、
Aは自分なりに結論を出していた。
「……ふぅん?
お前はそう思うんだ」
「それしか考えられないアル。
だって、そうじゃなかったら、後は……」
「後は?」
そう聞き返してくる沖田は真剣な目でじっとこちらを見ていて、
やっぱりいいアルと誤魔化そうとしていたAはたじろいだ。
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ぽてうさ(プロフ) - ゆるさん» ありがとうございます!!書いててよかったってなる嬉しいお言葉です(*^^*)近い内に続編も公開予定なので少々お待ち下さい! (2020年5月2日 11時) (レス) id: d2b650a918 (このIDを非表示/違反報告)
ゆる - すっごく面白いです!早く続きが読みたいです!更新頑張って下さい!応援してます♪ (2020年5月1日 11時) (レス) id: 647e80459a (このIDを非表示/違反報告)
ぽてうさ(プロフ) - ついに総悟さん行動にでました(°口°)こちらこそありがとうございますです_|\○_ 作者としては優しい沖田総悟を書くのが難しくて苦労してます笑 (2020年4月7日 23時) (レス) id: d2b650a918 (このIDを非表示/違反報告)
鈴音(プロフ) - 総悟ぉぉぉーーーーーΣ(゚Д゚;≡;゚д゚)すみません荒ぶりました← 何だろう…何か…もう…ほんとありがとうございます(((語彙力 (2020年4月7日 21時) (レス) id: 737011c58c (このIDを非表示/違反報告)
ぽてうさ(プロフ) - 至恩さん» 久しぶりとなってしまった更新で、こんなコメント貰えるなんて本当に嬉しくて続きを書くモチベがぐんぐん湧いてきます!ありがとうございます(●´ω`●) (2020年3月14日 23時) (レス) id: d2b650a918 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぽてうさ | 作成日時:2019年2月6日 19時