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「へ、……あ、起きるアル」

この切り替えについていけずそのままの体勢で呆けていたAは、
その声にはっとなって身体を起こした。

「お前、あの時も今も、持ち前の馬鹿力で抵抗のひとつくれェしてみろってんだ」

「あぅっ」

呆れたように言う沖田は、手を伸ばしてAにデコピンをかます。
それは先程と同じ痛みで、つまり計2回デコピンをされたのだとAは気づいた。

「ま、これに懲りたら、これからはそう易々と密室に男と2人きりになんざならねェこったな」

まだ少し痛むおでこに手を当てながら、Aは大人しく頷いた。

「……肝に銘じるアル」




それから何となく、ベッドの上に少し距離を置いた2人は背中合わせで座っていた。

Aは振り返ると沖田の背中を盗み見て、口を開く。

「……そーごは、ずっと余裕そうアルな」

「は?」

背中越しに、思ったよりも低い声が返ってきてAは慌てた。

「だ、だって今日は私ばっかり、そーごの言うことやることに振り回されてる感じで
なんかズルい……アル」

「オメーはもう一回襲われてェのか」

「ヒエっ遠慮するアル!」


しばらくの間をおいて、沖田がゆっくりと口を開く。

「俺ァ、死ぬのは別に怖くねェと思ってる。
なんせ死と隣り合わせに生きてるようなモンなんでね、
まァそう易々と殺られるつもりはねーが どこかでおっ死んだならそれまでってな。

ところが近頃は、それだけってワケにもいかなくなってきた。
まだ告ってねーから、そしてまだ返事聞いてねェから。
死ぬわけにゃいかねェなァと思う理由が次々に湧いてきやがるんでィ」

沖田の背中を眺めながら、Aは黙って話を聞いている。

「一人の女によって、人斬りには無縁だった
はずの感情をうっかり与えられちまった
ばかりに。
そんな女前にして、余裕なんざ持てるかよ」

真選組として、一番隊隊長として、たくさんの死をその目で実感してきた沖田は、人並みな生への執着を持ち合わせなかった。

そんな沖田が語ったことは、まるで“Aのために生きたい”と。
そんな風に聞こえて。

Aは正面に向き直り、「……そっか」と小さく返すのが精一杯で。


それはもう一度告白されたと思い惑うような、
強烈な、愛の言葉だった。


「つまりそーごは、ずっと余裕なフリしてたってことアルか?」

「そーいうとこには触れてくれるなっつーのがお約束だろィ」

「そんなこと言ってるとSが廃るヨ」

「ガラスのハートの打たれ弱さ舐めんなよ」

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設定タグ:銀魂 , 神威 , 成り代わり   
作品ジャンル:恋愛
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ぽてうさ(プロフ) - ゆるさん» ありがとうございます!!書いててよかったってなる嬉しいお言葉です(*^^*)近い内に続編も公開予定なので少々お待ち下さい! (2020年5月2日 11時) (レス) id: d2b650a918 (このIDを非表示/違反報告)
ゆる - すっごく面白いです!早く続きが読みたいです!更新頑張って下さい!応援してます♪ (2020年5月1日 11時) (レス) id: 647e80459a (このIDを非表示/違反報告)
ぽてうさ(プロフ) - ついに総悟さん行動にでました(°口°)こちらこそありがとうございますです_|\○_ 作者としては優しい沖田総悟を書くのが難しくて苦労してます笑  (2020年4月7日 23時) (レス) id: d2b650a918 (このIDを非表示/違反報告)
鈴音(プロフ) - 総悟ぉぉぉーーーーーΣ(゚Д゚;≡;゚д゚)すみません荒ぶりました← 何だろう…何か…もう…ほんとありがとうございます(((語彙力 (2020年4月7日 21時) (レス) id: 737011c58c (このIDを非表示/違反報告)
ぽてうさ(プロフ) - 至恩さん» 久しぶりとなってしまった更新で、こんなコメント貰えるなんて本当に嬉しくて続きを書くモチベがぐんぐん湧いてきます!ありがとうございます(●´ω`●) (2020年3月14日 23時) (レス) id: d2b650a918 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぽてうさ | 作成日時:2019年2月6日 19時

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