【銀魂】逃げた子兎、支配する兎 6【神威】

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「いーい天気アルなー」

あらゆる所に咲いたさくらもそろそろ満開を迎える頃だろう、そんな春の陽気を浴びる昼下がり
Aは、散歩に出向いていた。

特にすることもなく、今度銀ちゃん達とお花見行きたいアルなとぼんやり考え歩いて、
ぐぅ、とお腹がなったのを合図に万事屋に帰ることにした。

「そういえばランチがまだだったアル。
ま、帰ってもどーせ大したものないけどナー」

そう、くるりと方向転換した先に。

「あ」

「あ、ちょーどよかった。
今からそっち向かおうと思ってたんでィ」

Aの姿を認めるやいなや近寄ってくる沖田がいた。

「よっ、そーご。
万事屋に何か用アルか？」

「いや、用があったのはお前に」

そう言った沖田は隊服姿で、Aはわざとニヤニヤしてからかってみる。

「フーン、仕事サボってまで私に会いたかったアルか〜？」

こんなことを言ったら、考えられる返答パターンは
1.調子のんな的につねられる
2.何か腹が立つコメントをしてくる
3.もしくは1と2の合わせ技
なのに、

「まあな」
沖田は否定もせず平然と返した。

「ぬぉっ」
これにはむしろAの方がたじろいでしまう。

そんなAの目の前に、沖田が先程から手に下げていたビニール袋を掲げる。

「お前、もう昼メシ食った？
まァ、食ってたとしてもこれくらいその胃袋じゃ余裕だろ。

つーことで、ご相伴に預かっていかねェかィ」

沖田から受け取った袋の中身は、弁当2つ。

フタを開けて覗いてみると、食欲をそそる香りが広がる。

「お肉だァァァ！！
こ、これっ食べてもいいアルか！？」

その正体は焼肉弁当。しかも結構高級そうだ。
正確には叙○苑だ。

よだれをたらしながら目を輝かせて見つめてくるAに、沖田は予想通りの反応すんなァとおかしそうに頷く。

やっぱり、今日も優しくなってるアル。
何か罠があるんじゃないかと疑ったりしたけれど、多分、根は良いやつだったってことみたいネ。

土方に続き沖田にも餌付けされかかっているAはひとりでに頷く。

そう思うと何だか申し訳なくなってくるけれど、何よりこの焼肉弁当が最高に美味しそうで嬉しくて。

「そーご、ありがとーアル！
さっそく帰って一緒に食べるアル！
ヤキニク、キャホーーイ！！」

高ぶる感情のまま、腕を万歳のように振り上げて。


「あ」

「……エ？」

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