4 金を落とさない客に愛想ふる必要ある？ ページ5
「そういえば…貴女は寮でカフェの経営をしていたとか」
クローズ作業の掃除中、キッチンをジェイドさんと二人で片付けていると彼が話しかけてきた。
「はい、一応寮長だったので
ここで役にたつか分かりませんけど」
接客、キッチン、それに経営、ごっこ遊びみたいなものだったけどそれなりにしてきた経験はある、一人で生きていくのに役にたつかなぁ、と思ってそこは真剣に勉強した。そこそこにだけど
「そうですか
あ、そうそう、支配人のアズールもカレッジ二年生になる前に独学でモストロ・ラウンジ一号店をオープンさせたんですよ」
「知ってます。うちの学園でもその話は有名ですよ」
面倒で物騒なアズール支配人、でもルーツを辿ればすっごい経営者なんだよなぁ、成功する人、てどこか物騒かつ志を持った変な人なのだろう
「それはそれは…彼も偉いタコになりましたね」
掃除が終わったらしく、掃除道具たちは自分たちの元いた場所に戻り始める、正直魔法さえあればここに二人なんて必要ない
「まぁ、支配人みたいに願いを叶えるのは無理だったのでポイントを貯めたら欲しいものを錬成したり調合したりしてました」
ピカピカになったキッチンを見渡し満足したのでパンを胸ポケットに刺した。真珠のように綺麗なホワイトの魔法石はシンプルながらも美しく光を放っている
「僕たちAさんには期待しているんですよ」
「まだ入社して一ヶ月ですよ？
そんな期待だなんて…」
からかわれていると思ってジェイドを見上げる、彼はいつものように怖いくらいの微笑みを浮かべている、人魚というのは人間と違い年をとるのが若干遅いようで40代に見えない、この人私の親と年変わらないのよね…
「ふふ、これだけ"接客業"をしていると人を見る目というのは自然に養われるもの、貴女にはアズールと同じ匂いがします。良い経営者になりますよ」
「そういうものですかね…」
私には志も何もない、経営者なんて向いてないしなるかも今のところない…ただ。普通に不自由なく暮らせればそれでいいから
5 仕事はお金の為、それ以外のなんでもない→←3 興味ないことに使う時間が勿体無い
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作者名：ぽよ | 作成日時：2020年9月18日 21時
