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11 私はもう大人よ、保護者なんて必要ない ページ12

「リドルさんにトレイさん、すみません挨拶が遅れてしまって」

ラウンジの奥から出てきた三人は真っ先にリドルとトレイの元に向かう

「お久しぶりです」

「相変わらず金魚ちゃんちっせぇ〜」

リドルとモストロ・ラウンジ三人組はカレッジ時代の同級生、さほど仲は良くないが腐れ縁というやつだ

「いや、構わないよ、君たちも"多忙"なようだしね」

テーブルを見ると綺麗に片付けられており、ワインを嗜みながらデザートを待っているようだった。

「君からプレゼントしてもらったワイン、美味しいよ」

ワイングラスをくるくる回し色合いと匂いを楽しむ、アズールはにっこり笑い「それは良かった」と満足げに言った。

「今後ともご贔屓に」

アズールはカレッジの同級生や先輩、後輩に細やかなサービスをしていた。商売をする上で身内は大切だからだ。

「新しいウエイトレスを雇ったようだね、彼女は素晴らしいウエイトレスのようだ」

さっさと働く女性ウエイトレスに目線を向け「ふっ」と鼻で笑う

「君も回りくどい事を」

そう言いワイングラスに口をつけるリドル、アズールは営業スマイルを決して崩さない

「とっくに切り捨てたものかと思ってたが…今更手放すのが惜しくなったのか?」

温厚なトレイも悪い顔をしてみせる、自覚はあるようだ。

「おや、勘違いしないでください、僕は彼女が"有能"だと判断したので雇っているだけです。そこに私情なんてありません」

胡散臭い笑顔を浮かべる三人、気味が悪かったが昔からそんな集団だった。

「なら良かったよ、今更父親面をされてしまっては彼女にずっと愛情を注いできたウチのエースとデュースが可哀想だからね」

そこで初めて、ピクッ、とアズールの口角が動く、事情をだいたい知っているリドルとトレイはその様子が滑稽に見えた。

「仕事中に引き止めて悪かったな、最後までディナーを楽しんで帰るよ」

「はい、どうぞごゆっくりおくつろぎください」

アズールは精一杯の営業スマイルで応えた後、二人のウツボを連れてテーブルから離れ業務に戻る、リーチ兄弟はアズールの震える肩を見て顔を見合わせた。

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作者名:ぽよ | 作成日時:2020年9月18日 21時

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