第8話 ページ10
「……山姥切長義」
しばらく無言で見つめ合った後、三日月は長義の名を呼んだ。
それに長義が返答すると、三日月は僕を見つめたまま口を開く。
「この者が話したことに、間違いはないか？」
「あぁ、間違いも嘘も言っていない。すべて事実だ。
この本丸を立て直す計画は、今回が最後。
これで俺たちが突き返されたら、その時点でこの本丸の強制解体が決まり…
君たちも刀解され、その魂は強制的に本霊の元へ還されることになる。
まぁ…初代に関する話は、俺は聞かされていなかったけどね」
ここでようやく援護してくれた長義に内心サムズアップを送り、自己完結してしまったことは謝罪した。
といっても心の中でだから、本人には届かないけど。
だって仕方がない。その話をしようとしたその瞬間に三日月が現れて、次々と襲われたのだから。
これ僕悪くない。
じろりと冷ややかな視線を送る長義に、べっと舌を見せて挑発していると、途端にくつくつと喉を鳴らすような音が響いた。
どこから鳴っているのかと視線を彷徨わせると、次の瞬間、目の前の三日月が堪えきれないといったように大きな笑い声を上げた。
「はっはっはっはっは！あいわかった。ではひとまず、ここは一時休戦としよう」
「三日月！」
先ほどまでの気迫はどこへやら、突如穏やかにほほ笑んだ三日月はそのまま手にしていた太刀を納刀した。
納刀の仕草も綺麗だなぁ、なんて呑気に考えていれば、それに異を唱えたのは山姥切国広。
いや、彼だけではない。
ほかの刀たちも、三日月の突然の行動に困惑しているようだ。
「何を考えている！本当にこいつらを受け入れるのか？俺は認めない！」
「そうは言ってもなぁ、山姥切よ。これまで通りでは、間もなくこの本丸は閉ざされる。
主の帰還の可能性がゼロでない以上、今の俺たちにできることは、主が戻るまでここを守ることなのではないか？」
「そんなことはわかっている！しかし…！」
「三日月宗近の言う通りだよ、偽物くん？」
コツン、と踵を打ち鳴らし、長義が歩み寄る。
その口元は麗らかな微笑みを湛えているというのに、その瞳は酷く冷たく、それでいて地獄の業火のように燃え盛っていた。
うわぁ…これめんどくさいやつだ、といち早く察知した僕は、気配を消してすすっと身を引く。
それを気に留める様子もなく、国広の目の前に立ち塞がった長義は、高慢に見下すように笑った。
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774(プロフ) - キリンミカンさん» ありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです(*´ ˘ `*)これからも頑張ります〜！ (11月3日 14時) (
レス) @page22 id: 69f96811e5 (このIDを非表示/違反報告)
キリンミカン - こういう作品を探していました…！好きすぎて毎日見に来ています。体調に気をつけながらも更新がんばってください！ (11月3日 12時) (レス) @page20 id: e14e8e6fbd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：寒蘭 | 作成日時：2023年10月27日 17時
