第7話 ページ9
冷たい秋風が頬を撫で、髪を揺らす。
長い前髪の隙間から見え隠れする三日月の表情は、警戒…いや、今はそれより驚きの方が強く表れていた。
否定されないということは、図星…なのかな？
というか、なんでこんなに驚いているんだ。この本丸の経歴は普通に全て資料に記されていたし、これまでここに来た審神者たちでもわかったと思うんだけど…
…あぁ、あれか。こんな話すらさせてもらえないほど、これまでの人たちはさっさと追い払われたのか。
確かに普通の人間なら、先ほどの攻撃の数々を口が利ける状態で回避しきるなんて、些か無理があるだろう。
僕は…昔いた場所でみっちりしごかれまくったから、なんとかなっただけ。
それでも、一歩間違えたら確実に終わっていた。
…ところで、誤魔化されるかと思っていたのに、何も反応がない。
三日月は目を見開いたまま硬直しているし、その背後に控える五振りも何だか困惑するように互いに目を見合わせている。
仕方ない、もう一押しするか。
そう勝手に結論付けて、疲れた息を漏らす。
その仕草に意識を取り戻したのか、三日月はハッとしてこちらを凝視した。
僕がまだ喋ることを悟ったのか、次の言葉を促すような目で見つめられる。
お望み通り、まだ喋ってあげますよー。
「どうやら何か勘違いしてるようなので言っておきますけど。
僕、別にここの三代目になるつもりはないですからね」
「…ほぉ？」
すぅと目を細めた三日月に、内心「こっわ」と悪態をつく。
口の端を緩く持ち上げて薄く笑う美形は、非常に圧がある。心臓によろしくない。
言いたいことはわかるけどね。「さっきと言っていることが違う」でしょ。
だがまぁまて、人の話は最後まで聞け。
「僕がここに来た理由はただ一つ。この本丸を"立て直すこと"です。
あなた方刀剣男士の傷を癒し、環境を整え、再び人間と共生できるようにケアする…
けれど。今回それが受け入れられなかった場合、この本丸は強制解体となります。これが、最後のチャンスです。
しかしそれは困るはず。だってあなた方は、初代が帰ってきた時のため、この本丸を残さなくてはならないのですから」
ちょっとだけ脅しっぽくなってしまったのは、まぁ、ご愛嬌ということで。
何が言いたいとでも食いつきそうな彼らに、僕は人差し指を突き立てた。
「つまり。ここで僕を受け入れてくれれば、本丸の解体は免れます。
そして、初代が帰ってきたら…僕は即刻、審神者の座を明け渡しましょう」
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774(プロフ) - キリンミカンさん» ありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです(*´ ˘ `*)これからも頑張ります〜！ (11月3日 14時) (
レス) @page22 id: 69f96811e5 (このIDを非表示/違反報告)
キリンミカン - こういう作品を探していました…！好きすぎて毎日見に来ています。体調に気をつけながらも更新がんばってください！ (11月3日 12時) (レス) @page20 id: e14e8e6fbd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：寒蘭 | 作成日時：2023年10月27日 17時
