第6話 ページ8
「待ってるんですよね。前の主──
──…初代審神者の帰りを」
「──！」
静かにそう告げると、三日月だけでなく、彼の後ろで構えていたほかの五振りも目を見開き、息を呑む者もいた。
そう…これが、先ほど僕が立てていた「仮説」である。
前述した通り、彼ら刀剣男士は刀の付喪神として、歴史修正主義者から歴史を守るために、人間の手によって喚ばれた存在だ。
そんな彼らと人間の関係は、「力を貸す側」と「力を借りる側」。
つまり、立場で言えば刀剣男士の方が上である。当然だ、神様なのだから。
ならばなぜ、力を借りている側の人間が、審神者として刀剣男士を指揮しているのか？
それは、刀剣男士が何らかの理由で謀反などを起こした時、それを制御するためだ。
神の力は計り知れない。それこそ、ただの人間に太刀打ちできるものではない。
だからこそ審神者という力を持つ人間を主に据え、契約を結び、刀剣男士たちと主従関係を築くことで彼らの暴走を抑制しているのである。
しかし…これはあくまでも「刀剣男士が暴走した場合」を想定されている。
ならば、その逆…「審神者が不義を働いた場合」はどうなるのか？
例えば、この本丸のようなブラック運営。
人間のために顕現したというのに、その人間に虐げられ、刀の本分を果たせないままただ傷ついていく刀剣男士。
その場合の多くは、ブラック本丸として告発された後、新たな優良審神者を据えるか、別の本丸に移籍するか、もしくは顕現を解いて本霊へ還るかの三択だ。
けれど、この本丸の男士たちは、どの選択肢も取っていない。
新たにやってきた審神者も受け入れず、移籍もせず、本霊へ還ることもしない。
それに加え、ブラック本丸と言われて首を傾げるほど、綺麗に維持されている本丸…
…ここで話は変わるが、実は前任の審神者はこの本丸の二代目だったらしい。
散々この本丸を闇のような漆黒に染め上げた後、急性アルコール中毒で逝去したのだとか。
一方で、初代の審神者といえば、それはそれは優秀で霊力も強く、慈愛に満ちた美しい女性だったと、誰もが口をそろえて唱えていた。
だが、そんな初代審神者は、十五年ほど前に行方不明になっている。
生死もわからぬまま、捜索は早々と打ち切られた。
それらの事柄を総合的に見た結果、浮かび上がった仮説が「行方不明の初代審神者が帰ることを信じて本丸を維持している」というものである。
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774(プロフ) - キリンミカンさん» ありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです(*´ ˘ `*)これからも頑張ります〜！ (11月3日 14時) (
レス) @page22 id: 69f96811e5 (このIDを非表示/違反報告)
キリンミカン - こういう作品を探していました…！好きすぎて毎日見に来ています。体調に気をつけながらも更新がんばってください！ (11月3日 12時) (レス) @page20 id: e14e8e6fbd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：寒蘭 | 作成日時：2023年10月27日 17時
