第5話 ページ7
「なるほど。連携もよく取れているし動きに無駄がなく、洗練されている。
俺がこの本丸に監査官として来ていたら、まずまずの評価だろうね」
「監査官ごっこしてる暇があるなら助けてくんない？」
優雅に木に寄り掛かって腕を組み、気取った笑みを浮かべる長義に文句をつける。
その間に一期一振は飛んでいった刀を回収し、国広も立ち上がって距離を取っている。
しかしそんな警戒心たっぷりの彼らに構うことなく、長義はやれやれとわざとらしく首を横に振った。
「忘れたのかな？俺は君の護衛役ではなく監視役。
君が斬られようが俺の知った事ではないな」
「クッソムカつくぅ…めちゃくちゃ腹立つのに顔がいいなクソ…」
「どうも」
渾身の恨み言も軽くスルーされてしまっては意味がない。
こういったやり取りはこれまでも散々してきたので、長義もスルースキルに磨きがかかってきている。
最初の頃はよく突っかかってきたり、煽りに耐性がなくてすぐ売り言葉に買い言葉状態だったのになぁ…
数か月前のことを思い出してしみじみしていると、三日月宗近が一歩前に歩み出た。
その手には本体である刀が握られている。
「お前は…一体何者だ？短刀たちの動きを見切り、一期一振と山姥切国広の連撃を耐え、その上一時とはいえ動きを止めるなど…」
最前にいた一期一振と国広も通り過ぎて、僕と二メートル余りのところまで接近してくると、三日月はその切っ先を僕の眼前に向けた。
その鈍く輝く刃には目もくれず、真っ直ぐに三日月の目を捉える。
僕の反応は予想していなかったのか、険しい顔で片眉をぴくりとあげた三日月に、今度はあからさまな愛想笑いではなく、ふにゃりと力の抜ける笑みを浮かべた。
「僕は、ちょっと訳アリなだけですよ。
…あなたたちと同じでね」
ぽつりと小さく零すと、意外そうに目を見開いた三日月によって、少しだけ突き付けられた切っ先の高さが落ちた。
それには気づかないフリをして、言葉を続ける。
「あなたは先ほど『我らに主は不要』と言いましたね」
「…それがどうかしたか？」
「でも、それだとおかしいんですよ。
あなた方は、あくまで人間に力を"貸している"立場です。
人間が嫌になったなら、さっさと本霊に還るなりすればいい
けれど、あなたたちはそれどころか、この本丸を綺麗に維持している…」
「…何が言いたい」
再び三日月の手に力がこもる。
言葉を誤れば、即刻切り捨てられるだろう。
けれど恐らく…これは正解だ。
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774(プロフ) - キリンミカンさん» ありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです(*´ ˘ `*)これからも頑張ります〜！ (11月3日 14時) (
レス) @page22 id: 69f96811e5 (このIDを非表示/違反報告)
キリンミカン - こういう作品を探していました…！好きすぎて毎日見に来ています。体調に気をつけながらも更新がんばってください！ (11月3日 12時) (レス) @page20 id: e14e8e6fbd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：寒蘭 | 作成日時：2023年10月27日 17時
