第44話 ページ46
「霊力喰い？」
燭台切と鶴丸の声が重なる。
神妙に頷いてから再び紋に目をやり、その揺らぐ様子を見つめた。
「これは、刀剣男士にのみ効果を発揮する厄介な呪いでね。
その名の通り、この呪いはかけられた者の霊力を取り込んでどんどん肥大化していく。
初めは戦いの時に上手く力が出せなかったりするくらいなんだけど、進行すると日常生活にも支障が出たり、顕現を保てなくなることもある。
最悪の場合…霊力がなくなったら、次は生命力を取られ…
やがてその刀剣男士は破壊される」
その言葉で、一瞬にして周囲に緊張感が走った。
燭台切が喉を鳴らし、鶴丸が短く息を吐きだす。
…太鼓鐘の顕現が解かれていないということは、そこまで症状は進んでいないことになる。
しかし…それは、彼が健常だったら、の話だ。
傷を負った刀剣男士は、その傷から微量な霊力が流れ出てしまう。
といっても、本来ならそこまで神経質になる必要はない。
審神者養成学校でさえ習わないような、ほとんど影響のない程度だからだ。
だがこの本丸のように、負傷してから長期間手入れを行わずに放置してしまうと、少しずつ流れ出た霊力はやがて膨大になり、結果霊力の枯渇を招いてしまう。
太鼓鐘も、いつから手入れされていないのかわからないが、恐らく霊力はもうほとんど残っていないだろう。
つまり…呪いの矛先が太鼓鐘の生命力に向くのも、時間の問題だ。
「そんなっ…！一体どうしたら！」
「…先に手入れをしよう。まだ破壊されないってことは、少なくともまだいくらか霊力は残っているはず。
太鼓鐘の霊力が枯渇する前に、手入れして生存値を回復させよう。
やるよ、こんのすけ！」
「承知しました」
ぶわり、とこんのすけが煙に包まれる。
気が動転しているらしい燭台切を長義が引き離してくれたので、すぐに心を落ち着かせて手早く工程を踏んだ。
今回も手伝い札のおかげですぐに完了したが、これで終わりではない。
「手入れをしても、呪いをどうにかしない限り危険な状況に変わりはない…」
「はぁ…こんな事になるなら、もっと呪術関連の知識を深いところまで蓄えておくべきだったな。
こんなの、討伐課にいた頃にも聞いたことすらない」
こめかみを押さえて眉根を寄せる長義に、僕は呪いの様子を観察しながら彼を擁護しようと口を開いた。
「長義が知らなかったのも仕方ないよ。
だってこの呪い、つい二、三年前に時間遡行軍が開発したものだし」
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774(プロフ) - キリンミカンさん» ありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです(*´ ˘ `*)これからも頑張ります〜！ (11月3日 14時) (
レス) @page22 id: 69f96811e5 (このIDを非表示/違反報告)
キリンミカン - こういう作品を探していました…！好きすぎて毎日見に来ています。体調に気をつけながらも更新がんばってください！ (11月3日 12時) (レス) @page20 id: e14e8e6fbd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：寒蘭 | 作成日時：2023年10月27日 17時
