第43話 ページ45
「…わかった。
君を斬るかどうかは、みんなを元気にしてもらってから考えるよ。
でも、もしも誰か一振でも折ったら、その時は…」
「うん。その時は、きっちり一発で仕留めてね」
安心させるように微笑んでみると、燭台切はぐっと息を詰まらせたあと、何かを言おうとしてやめ、やがて諦めたように手を離した。
…長袖だし、スーツだから捲らないと見えないけど、たぶん跡ついてるよな…
ま、折られなかっただけマシか。
気づかれないように左手が正常に動くことを確認し、ちらりと大倶利伽羅の様子も窺う。
眠る太鼓鐘の隣で正座し、俯いたままの燭台切とは打って変わって、大倶利伽羅は太鼓鐘の足元で立ちすくみ、無感情な金の目でこちらを捉えていた。
何を考えているのか読めないが、止めてくる様子は無い。
そもそも、真っ先に手入れを受けようとしたのは彼だ。
警戒はしているんだろうけど…燭台切ほど強く拒絶してる訳では無いみたいだ。
今度こそ止められないことを確信したので、そっと太鼓鐘の本体を持ち上げて簡易手入れ場に連れていく。
「…ん？」
そして同じ手順を踏んで柄から刀身を外すと、太鼓鐘の
「どうした？」
後ろから覗き込んできた長義に茎部分を見せる。
そこには、本来あるはずのない黒い紋が浮かび上がり、煙のようにゆらゆらと揺れていた。
「これ…太鼓鐘貞宗って、こんなところにこんな紋入ってたっけ？」
「…いや、そんなものはないはずだ」
「さ、貞ちゃんに何かあったの!?」
僕らの会話を耳ざとく聞きつけた燭台切が駆け寄ってくる。
彼にも紋を見てもらうと、目を大きく見開いて、唇をわなわなと震わせて首を振った。
「し…知らない、なにこれ…こんなの、貞ちゃんにはなかったよ！」
「おいおい、こりゃどういうことだ？」
僕の隣に座る長義の頭に圧し掛かりながら、鶴丸も初めて見たというように首を傾げた。
それに「重い！」と文句を言って振り払う長義は、どこか焦ったように言葉を走らせる。
「なんだか嫌な感じがする…が、そんな形の紋は見たことが無いぞ。
何らかの封印のようにも見えるが…」
まじまじと紋を見つめる長義。
同じようにじっと紋を観察していた僕は、頭の中で呪術に関する知識の引き出しをひっくり返し、その中に合致するものを思い出して息を吐いた。
「これ…霊力喰いの呪いだ」
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774(プロフ) - キリンミカンさん» ありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです(*´ ˘ `*)これからも頑張ります〜！ (11月3日 14時) (
レス) @page22 id: 69f96811e5 (このIDを非表示/違反報告)
キリンミカン - こういう作品を探していました…！好きすぎて毎日見に来ています。体調に気をつけながらも更新がんばってください！ (11月3日 12時) (レス) @page20 id: e14e8e6fbd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：寒蘭 | 作成日時：2023年10月27日 17時
