第41話 ページ43
ずっと差し出していた両手に、鶴丸の刀が添えられる。
それをしっかり握りしめると、彼はそっと手を離した。
「…俺はな、常日頃から驚きを求めているんだ。
いい加減、暗い海の底のような場所で同じことを繰り返すのには、もう飽きてしまった。
…きみなら、この本丸を良き驚きで満たしてくれると、信じているぜ」
「！……うん。任せてよ、驚きの提供は得意なんだ！」
鶴丸の本体を大切に抱え込み、二人で笑い合う。
もう、涙は止まっていた。
「よし、手入れを始めるよ！長義、三日月、準備を──」
「もうできてるよ」
先ほどからずっと気配のなかった二振りの姿を探すと、いつの間にやら部屋の隅に簡易手入れスペースを作ってくれていた。
「さすが長義、仕事が早い」
「ふん、当然かな」
「俺も手伝ったぞ」
「三日月もありがとう」
得意げに鼻を鳴らす長義と、何故か褒めてほしそうに便乗してきた三日月にも礼を言う。
一メートル四方の真っ白な布が畳の上に敷いてあり、その上中央に鎮座するこんのすけを囲うように各資材が配置されている。
鶴丸の刀を持ってそちらに行き、始めようかとこんのすけに声をかけた。
…この狐、さっきの面倒な展開を引き起こした張本人だというのに、何食わぬ顔で当然のように座っているな。
なんだかムカつくけど、この子も被害者だしな…と無理やり納得して雑念を追い払う。
手入れ部屋の外での手入れは初めてだ。
集中しなければ。
とりあえず、刀に一礼してから、柄から外すところまでは同じ。
その後、古い油を拭い取り、打ち粉をつけるのだが…
こんのすけに合図すると、彼の体が半透明の淡い煙に包まれ、その煙は周りを囲う資材も包むと、僕の手にある刀にまで伸びてきた。
なるほど、この煙みたいなのが、供物台の代わりになっているのかな？
煙が刀全体を覆い尽くしたのを確認してから、打ち粉をまぶして拭き取ってみる。
煙に包まれているとはいえ、不思議と見ずらくなったりはせず、無事に手入れは完了した。
今回も手伝い札を最初から用意しておいたので、一度やるだけですっかり元通りだ。
手入れが完了すると、刀や資材を包んでいた煙は霧散し、用意していた資材は丁度すべて消費された。
「はい、手入れ終わったよ。どう？」
刀身を柄に入れ直して納刀し、背後にいた鶴丸を振り返って刀を差し出す。
それを受け取った鶴丸は先ほどまで中傷だったが、傷はすべて塞がり、衣服もすっかり元通りになっていた。
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774(プロフ) - キリンミカンさん» ありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです(*´ ˘ `*)これからも頑張ります〜！ (11月3日 14時) (
レス) @page22 id: 69f96811e5 (このIDを非表示/違反報告)
キリンミカン - こういう作品を探していました…！好きすぎて毎日見に来ています。体調に気をつけながらも更新がんばってください！ (11月3日 12時) (レス) @page20 id: e14e8e6fbd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：寒蘭 | 作成日時：2023年10月27日 17時
