第36話 ページ38
「三日月さん！長義くん！二振りとも、目を覚まして！
操られてるんだよ、その人間に！」
あっ、この二振りもグルだとは思われていないっぽい。
それは一安心だけど、だったら尚更おかしいよ。
くそう、さっきの三日月のノリの良さを彼らにも見せてやりたかった！
まったく謂れのない冤罪に歯噛みしていると、突如として三日月が大きく笑い始めた。
ほんと急に笑い始めるなこの刀…
ていうか笑いのツボ浅いな？
「はっはっはっはっは！俺が操られている、と。
そうらしいが、どうなのだ？代理殿？」
「操られているやつが自我をこんなに出すのはおかしいと思いまーす。
そう思うよね？ちょぎたん」
「そうなのか？ちょぎたん」
「うるさいぞっ、クソッ！
次同じ呼び方をしたら、今度こそ斬るからな！」
三回目までは許してくれるのか…などとこの場において最も適さない思考で脳裏を埋め尽くしていると、そんな馬鹿みたいな様子を目にした燭台切はぽかんと目を丸くしていた。
彼だけじゃない、大倶利伽羅もわずかに目を見開いている。
鶴丸国永は…変わらず警戒しているな。
よしよし、冷静に状況を見極められる存在がいるのはいいことだ。
さすがは平安刀、こういう時は落ち着いている。
三者三様の反応を観察していると、苛立ちを押さえるように深く息を吐いた長義が、やがて燭台切に向き直った。
「言い方が気に食わないけれど、彼の言う通りだよ。
呪術をかけられて自我を奪われた存在は、例え刀剣男士であっても意思を奪われた人形のようになる。
そうなると簡単な受け答えしかできないし、術者の命令を淡々とこなすことしか能が無くなる。
こんなふうに、術者に命令されてもいないのに、スラスラと長文を話すのは不可能なんだ」
さすがは元討伐課所属、そういった術関連にも詳しい。
長義の言う通り、自我を奪う類の術は総じて、かけられた側の「意識の混濁」が症状として
どれだけ軽微な、それこそ暗示をかけるレベルのものであっても、ぼんやりと頭が冴えない感じになったり、記憶が曖昧になることも多い。
それがこの術の利点でもあり、同時に欠点でもある。
対象を意のままに操ることができるが、それと同時に、周囲に気づかれやすいのだ。
これはどんな高度な術でも変わらないことなので、この症状が現れない限り、操りの可能性はゼロだと断言できる。
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774(プロフ) - キリンミカンさん» ありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです(*´ ˘ `*)これからも頑張ります〜！ (11月3日 14時) (
レス) @page22 id: 69f96811e5 (このIDを非表示/違反報告)
キリンミカン - こういう作品を探していました…！好きすぎて毎日見に来ています。体調に気をつけながらも更新がんばってください！ (11月3日 12時) (レス) @page20 id: e14e8e6fbd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：寒蘭 | 作成日時：2023年10月27日 17時
