第31話 ページ33
「見かけは幼く、弱々しい。
だというのに、その小さな体から感じる威風堂々とした佇まいは、こちらに緊張感を抱かせるには十分だったぞ」
「えぇ…小さき者が頑張って背伸びしてるとか、そういう感じではなかったわけ？」
「それにしては風格がありすぎたな、はっはっは」
けらけらと楽しそうにする三日月の横を歩きながら、一人首を傾げる。
そんなに貫禄あるのかな、僕。
推定年齢十五から十七なのに、なんだか複雑な気分だ。
元々いた環境を考えれば仕方のないことかもしれないけど、もう少し子供らしい無邪気さとかほしかったなー。
今更ないものねだりしたところで、得られるものではないけど。
「君はハッタリだけは上手いからな」
「堂々としてるって言ってよ」
嫌な言い方をして鼻を鳴らす長義に頬を膨らませていると、ようやく男士たちの私室が並ぶ辺りに辿り着いた。
どの部屋も障子はしっかり閉ざされており、特に防音設備などはないはずなのに談笑の声すら聞こえない。
どうやら皆、よそ者がやって来たことを悟って、息をひそめているみたいだ。
うーん、やはり一筋縄ではいかなさそう。
でも、やるしかない。
「ところで、資材と手伝い札は持ってきているけれど、どうやって手入れを行うつもりなのかな？
資材はともかく、供物台は持ち運びができないし」
大量の手伝い札をかごに入れて持ってくれていた長義がそれを掲げ、訝し気に眉を顰める。
長義の言う通り、手入れの際には資材や札を供える供物台が必要不可欠だ。
しかし、それがある手入れ部屋は現在、手入れ済みの重傷者たちが安静にしている。
あの人数をそれぞれの私室まで運ぶのは大変だし、そもそも負傷者に「手入れするから手入れ部屋に来てくれ」と言って素直に来てくれるとは到底思えない。
そこで、僕は事前に先輩審神者から聞いていた、とある方法を実践することにした。
「そのことについては考えがある。
三日月、こんのすけって呼べる？」
「ん？あぁ、呼べるぞ。…こんのすけ」
三日月が何もない空間に向けてそう呼びかけると、その視線の先で突如どろんと煙が現れ、それが晴れると中から一匹の狐が姿を現した。
「お呼びですか、三日月宗近」
足元にちょこんと座りこんだ狐…こんのすけは、僕の方は見向きもせず、どこかうつろな瞳で三日月を見上げている。
…こんのすけって、こんなに痩せていただろうか。
政府にいた個体と比べて、ずいぶんみすぼらしいように見える。
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774(プロフ) - キリンミカンさん» ありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです(*´ ˘ `*)これからも頑張ります〜！ (11月3日 14時) (
レス) @page22 id: 69f96811e5 (このIDを非表示/違反報告)
キリンミカン - こういう作品を探していました…！好きすぎて毎日見に来ています。体調に気をつけながらも更新がんばってください！ (11月3日 12時) (レス) @page20 id: e14e8e6fbd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：寒蘭 | 作成日時：2023年10月27日 17時
