第28話 ページ30
「どうだろうね。
みんなを助けたいという気持ちは、確かに本物だよ。
でもそれは結局、あなたが見てきたような者たちと、本質は変わらないのかもしれない。
僕だって、自分のためにやっているようなものだし。
強引にこじ開けて、土足で踏み荒らすのは、僕もやってしまった自覚はあるよ。…初代のこととか、ね」
恐らく、この本丸の男士にとっての初代審神者というのは、彼らの根底に強く残るもので、柔く、脆い。
その深いところに手を無理やりねじ込んで、無遠慮に掴み取って、下品にも見せびらかすような真似をしたのだ。
そんなのはきっと、三日月が言うような許せない存在と、何ら変わりは無いのではないだろうか。
「まぁ、確かに。見事な交渉ではあったな。はっはっは」
「笑うところおかしくない？」
あんな脅しに近い交渉をされたというのに、よくもまぁ呑気に笑っていられるものだ。
初対面を果たしてすぐの時のあの殺気はどこへ行ったのやら…あれからまだ半日も経っていないんだけどな。
やけにすんなりと信頼してくれている様子の三日月を訝しく思いながら、手入れの終えた刀を納刀する。
それを立ち上がった三日月に差し出すと、彼はなぜか、慈しむような、優しく溶かすような笑みでこちらを見下ろした。
「だが、それでも、お前は違うと俺の勘が言っている。
なぜかはわからんが…お前の姿を見て、声を聞いて、その手で刀を触れられると、
そう言って自分の胸の辺りに手を添えた三日月に、僕と長義は目を見合せて瞬きを繰り返す。
僕を見たり聞いたり触れたりすると、心が温まる？
なんだそれ…そんなの、まるで、絆で結ばれた審神者と刀剣男士みたいじゃないか。
三日月が、僕にそれを感じる意味がわからなくて、彼がいる方とは逆を向いてから長義と顔を突き合わせる。
「ねぇ長義。これもしかして、僕、無意識の間に魅了の呪術とか使っちゃったのかな？」
「馬鹿な、と言いたいが、このたった数時間でそこまでの領域に達しているということは、その可能性もあるな。
というか、そんな呪術なんて使えたのか」
「いや使えないけど」
「使えないじゃないか」
「聞こえているぞ〜」
また小声でこそこそと話していたのだが、さすがに距離が近すぎて当然聞かれてしまった。
だが今回は別に聞かれても問題は無い、ただ少し議論がしたかっただけで。
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774(プロフ) - キリンミカンさん» ありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです(*´ ˘ `*)これからも頑張ります〜！ (11月3日 14時) (
レス) @page22 id: 69f96811e5 (このIDを非表示/違反報告)
キリンミカン - こういう作品を探していました…！好きすぎて毎日見に来ています。体調に気をつけながらも更新がんばってください！ (11月3日 12時) (レス) @page20 id: e14e8e6fbd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：寒蘭 | 作成日時：2023年10月27日 17時
