第26話 ページ28
失礼な考えが脳裏をよぎったが、それを払いのけて頷く。
「大丈夫だよ。長義、僕の審神者データ見てないの？
時の政府が管理する霊力測量器で僕の霊力計ったら、測定不能って出たからね。
それに、言ったでしょ。一日に二百振りも三百振りも手入れするのは慣れてるって。
たがだが七十何振りくらい、僕の手にかかればお茶の子さいさいってね」
ばちこーんとウインクをサービスしてみるが、長義は眉根を寄せたまま納得いかないという表情。
心配してくれるのはありがたいけど、実際そんなに負担じゃないし、そこまで問い詰められてもなぁ。
すると、残りの資材を数えていた三日月が不意に顔を上げ、首を傾げた。
「先ほどから気になっていたが、一日にそのような多くの手入れを行うとは、以前は一体どこに所属していたのだ？
自分の本丸を持つ審神者というよりは、政府の討伐課などに勤めていたのか」
純粋な疑問というように問いかける三日月に、僕は資材をまとめる手元を見つめたまま否定した。
「いや、政府に所属していたことは無いよ。
審神者業もこれが始めてだし」
「うむ…？審神者の経験もなく、政府の出でもない…
とすると、名のある刀工の元で修行中の身だった、か？」
「それなら良かったんだけどねぇ…
ま、この話はまた追追するよ。長くなるから。
今はそれより、全振りの手入れを終わらせなきゃ」
これ以上はまだ聞くな、と含みを込めてそう切りあげ、必要になりそうな分の資材を詰めた木箱の蓋を閉じる。
その意を汲み取ったのか、一度浅く頷いた三日月は、それ以上同じ話はしなかった。
その代わり、木箱の横に転がる資材を手に取って、再び首を傾げた。
「これは入れんのか？」
「それは、あなたに使うんだよ。三日月宗近」
向き直ると、驚いたように目を丸くする三日月。
和泉守にしたのと同じように、彼の前に跪いて両手を差し出す。
「言ったでしょ、全振りの手入れを終わらせるって。
それにはあなたも含まれてるんだからね。
総大将のあなたがボロボロで、この本丸の士気が上がると思う？」
そう言って挑発するように見上げると、やがて三日月は実に愉快そうに快活とした笑い声を上げた。
「はっはっは！そうだな、相談役殿の言う通りだ。
あいわかった、手入れを頼もう」
朗らかな笑みを浮かべ、己の本体を僕に手渡した三日月は、その場に腰を下ろして安静の姿勢を取った。
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774(プロフ) - キリンミカンさん» ありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです(*´ ˘ `*)これからも頑張ります〜！ (11月3日 14時) (
レス) @page22 id: 69f96811e5 (このIDを非表示/違反報告)
キリンミカン - こういう作品を探していました…！好きすぎて毎日見に来ています。体調に気をつけながらも更新がんばってください！ (11月3日 12時) (レス) @page20 id: e14e8e6fbd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：寒蘭 | 作成日時：2023年10月27日 17時
