第25話 ページ27
──そこからは、少し大変だった。
初めに入った手入れ部屋に、重傷者が五振り詰め込まれていたものだから、てっきり重傷、中傷、軽傷を部屋ごとに分けているのかと思っていた。
しかし、実際はもっと悲惨だった。
なんと、四つある手入れ部屋はすべて重傷者のみが運び込まれており、軽傷や中傷の男士は自室にいるのだという。
重傷者は、すでに手入れ済みの和泉守たちを合わせて十八振り。
軽傷と中傷に至っては、数が多すぎて把握しきれていないとのこと。
つまり、この残り三つの手入れ部屋に入っている男士たちが終わったら、必然的にこの本丸の全刀剣男士と顔を合わせ、傷を見なくてはならないということになる。
これは骨が折れるぞ…
ただでさえ数が多いのに、そのほとんどが素直に手入れをさせてくれるはずがない。
先ほどの手入れの様子を思い出すとわかる通り、手入れをするには、彼らの命と同等である本体の刀を預からなくてはならないのだ。
刀剣男士は刀が折れたら、その魂は本霊に還り、それまでの記憶も本霊と統合される。
確かに、同じ刀を顕現すれば、再び仲間にすることができる。
しかしそれは、以前まで共に仲間として過ごした個体とは別物なのだ。
言ってしまえば、しんでしまうのと同義。
そんな命に等しい大事な本体を、信頼できないよそ者に預けられるかと聞かれれば、多くの男士は首を横に振るだろう。
和泉守が僕に預けてくれたのは、たまたま彼が実直な性質だったのと、精神的に追い込まれすぎて冷静な判断力に欠けていたというだけだ。
霊力の枯渇によって意識がない重傷者はともかく、しっかりと反抗する余力の残った軽傷、中傷の男士たちを手入れするのは、一筋縄ではいかない。
けれど、どの道あいさつ回りはしておくべきだと自分を無理矢理納得させ、あまり気負いすぎずにさっさとこなしていくことにした。
腹を括ってほかの手入れ部屋を回り、手際よく手入れしていく。
そして、最後の部屋の男士も無事手入れし終わり一息ついたところで、長義に顔を覗き込まれた。
「さっきはああ言っていたけど、本当に大丈夫なのか？
さすがにどんなベテランの審神者でも、こんな短時間に十八振りも手入れしたら、疲労くらいは溜まると思うのだけど」
さっきと言えば、和泉守に霊力の心配をされた時のことだろうか。
何だか和泉守の刀を握った時から、やけに心配してくるな…槍でも降るのかな。
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774(プロフ) - キリンミカンさん» ありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです(*´ ˘ `*)これからも頑張ります〜！ (11月3日 14時) (
レス) @page22 id: 69f96811e5 (このIDを非表示/違反報告)
キリンミカン - こういう作品を探していました…！好きすぎて毎日見に来ています。体調に気をつけながらも更新がんばってください！ (11月3日 12時) (レス) @page20 id: e14e8e6fbd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：寒蘭 | 作成日時：2023年10月27日 17時
