第24話 ページ26
和泉守の手入れも手伝い札を使い、滞りなく完了。
丁寧に納刀してから、本刀に返還する。
気づけば、無くなっていた左腕もしっかり元に戻っていた。
「うん、これでもう大丈夫そうだね。
それじゃ、僕は次の子を治しに行くから。安静にしててね」
てきぱきと資材を片付けて、次の部屋に行くため入口へ向かう。
しかし、すぐに呼び留める声が背中に投げられ、僕はその場で振り向いた。
そこに立っていた和泉守は抜刀する様子もなく、ただ静かにこちらを見据えている。
「正直、新たな審神者を受け入れたと一期一振から聞いた時は、ついにみんな狂っちまったのかと思った。
実際、まだてめぇを主と認めたわけじゃない。
だが…国広たちを救ってくれたことには、礼を言う」
そう言って深々と頭を下げた和泉守に、短い息が漏れ出る。
精々、終わったならさっさとこの本丸から出ていけとか、脅されるかと思っていたのに。
…手入れをして感謝されるなんて、初めてだな。
「わっ、わたくしも！その点においてだけは、感謝いたしますぞ！」
顔を上げた和泉守の肩に乗って、鳴狐のお供はそう続けた。
さっきまでは散々警戒して威嚇していたのに、感謝を忘れないところは律儀だな。
そんな一振りと一匹に、思わず短い笑い声が漏れ出る。
やっぱり…先代の審神者はクソだったけど、初代がいい人だったからか、ここの男士たちは心の底から人間を嫌っているわけじゃなさそうだ。
もちろん、それ以前の元主の影響もあるんだろうけどね。
「ふふ。別に、僕のことは主と思わなくてもいいよ。
僕はただ…クソみたいな奴らに、散々振り回された君たちがこれまで奪われてきたものを、きちんと返してあげたいだけだから。
そうだね…審神者というより、相談役とでも思ってもらえたら、それで十分だよ」
ゆるゆると笑ってみせると、和泉守は困惑した様子で眉をひそめた。
いい加減長話をやめにしないと、全振りの手入れが終わる前に日が暮れてしまう、とそのまま部屋を後にする。
手入れ部屋から出ると、先に資材を持って出ていた三日月と長義がこちらに気づいて振り向いた。
「審神者としてではなく、相談役として…か。
つくづく、お前は変わっているなぁ。はっはっは」
「こちらとしては、大人しく審神者になってほしいのだけれどね」
三日月は愉快そうに笑い、長義は面倒そうにため息をついている。
盗み聞きするなよ、と二振りを睨んで、次の部屋へ向かった。
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774(プロフ) - キリンミカンさん» ありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです(*´ ˘ `*)これからも頑張ります〜！ (11月3日 14時) (
レス) @page22 id: 69f96811e5 (このIDを非表示/違反報告)
キリンミカン - こういう作品を探していました…！好きすぎて毎日見に来ています。体調に気をつけながらも更新がんばってください！ (11月3日 12時) (レス) @page20 id: e14e8e6fbd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：寒蘭 | 作成日時：2023年10月27日 17時
