第23話 ページ25
規則正しい呼吸を続ける堀川を見て納得してくれたのか、和泉守は安堵したように深い息を吐き出した。
ひとまず落ち着いてくれたようなので、残りの三振りの手入れも急ぐ。
初めは、一つの手入れ部屋に五振りもいるため、きちんと手入れのシステムが作動するか不安だったものの、問題なく動いてくれたのでよかった。
今度は最初から手伝い札を使い、テンポよく今剣と鳴狐と歌仙兼定の手入れを行う。
この三振りは堀川よりいくらか軽い傷ではあるものの、やはり霊力が流れ出してしまっているのか、すぐには目覚めなかった。
ちなみに、ほかの二振りは問題なかったが、鳴狐の時だけはお供のキツネに口うるさくせっつかれてしまった。
「しっかり治すのですよ！」「この程度の資材で足りるのですか!?」「鳴狐を折れば、このキツネが容赦いたしませんぞ！」などと手入れ中も騒ぐものだから、はいはいとてきとうに流していたら足を踏まれた。
でも軽いから何も痛くなかった。
「さ、この部屋は君が最後だ。刀を貸してもらえる？」
三振りの手入れが終わったので、ずっと堀川の隣に座り込んでこちらを睨んでいた和泉守の元へ向かう。
そばに跪いて両手を差し出すと、和泉守はその手をじっと睨みつけ、それから僕の目に視線を合わせて、ボソリと口に含むように言葉を発した。
「霊力は、まだあんのか」
「え？霊力って、僕の？」
「…前のヤツは、霊力が足りねぇっつって手入れをしなかった」
あぁー…そういう感じなんだ。
本当に霊力が少なかったのかもしれないが、たった四回手入れした程度で枯渇するような霊力量なら、審神者になれるとは思えない。
そもそも、手入れより鍛刀の方がより霊力の消費が激しいはずだ。
けれど、この本丸の依頼札が少ないのを鑑みるに、鍛刀は高頻度でやっていただろう。
手伝い札が大量にあるということは、遠征には行かせていただろうし。
つくづく呆れる審神者だな…僕の元職場と同レベルだぞ。
そりゃあ不信感も抱くわな、と心の中で一人納得し、和泉守に落ち着いた笑みを向けた。
「大丈夫だよ。僕、霊力量だけは優秀だからさ。
それに、一日に二百振りも三百振りも手入れするのは慣れてるし」
それはそれでどうなんだ、とでも言いたげに口元を引きつらせた和泉守は、また一つ息を吐いてから、己の本体を僕の手に載せた。
「雑に扱うんじゃねーぞ」
「うん。誠心誠意、お手入れするね」
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774(プロフ) - キリンミカンさん» ありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです(*´ ˘ `*)これからも頑張ります〜！ (11月3日 14時) (
レス) @page22 id: 69f96811e5 (このIDを非表示/違反報告)
キリンミカン - こういう作品を探していました…！好きすぎて毎日見に来ています。体調に気をつけながらも更新がんばってください！ (11月3日 12時) (レス) @page20 id: e14e8e6fbd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：寒蘭 | 作成日時：2023年10月27日 17時
