第22話 ページ24
続いて、刀身に付着した古い油を取り除く。
手元から先へ向かって拭紙で拭き取り、次は打ち粉を軽く揉み解して、それをぽんぽんと刀身全体に優しく叩きつける。
そして打ち粉がまんべんなく全体についたら、新しい拭紙を使って打ち粉を拭き取り、また同じように打ち粉を付けていく。
すると、刀身がキラキラとした淡い輝きに包まれ、どんどん傷が塞がっていった。
本来なら、ここまで損傷している刀剣は普通の手入れでは治らないのだが、刀剣男士はこの方法でも問題なく修繕されていくから不思議だ。
専用の供物台に必要分の資材を置いておくと、どういう仕組みか勝手に消えていくので、恐らく手入れをすると自動的に資材が刀に注がれ、傷を治していっているのかもしれない。
いつ見ても摩訶不思議だ…
「…手伝い札ってある？」
「あぁ、千枚ほどあるぞ」
「うおっ」
負傷している男士はまだまだいるので、なるべく次々と終わらせたい。
その為に必要になる手伝い札の在庫を長義に確認したつもりが、いつの間にかすぐ横まで来ていた三日月が代わりに答えた。
集中していて目を刀から離さなかったせいだけど、あまり気配を消して近づかないで欲しい。
「…ありがとう、三日月」
驚かすなという意味を含めてじとりと冷ややかな視線を送りつつ、渡してくれた手伝い札の礼を言うと、三日月は悪びれる様子もなくにっこり笑って頷いた。
それにしても、手伝い札千枚って…
どれだけ遠征に行かせたんだろう。
手入れをしていないにしても、鍛刀はしていただろうし。
後で確認してわかったことだが、依頼札は2枚しかなかった。
「よし、これをセットして…」
受け取った手伝い札を供物台の中央に置くと、それは直ぐに消え、刀身が強い光を帯びた。
そのうちに素早く打ち粉をまぶし、しっかりと拭き取る。
すると、先ほどまで少しずつしか消えなかった傷が、たった一度ですべて綺麗に消え去った。
手伝い札はまだまだあるし、この調子でどんどん行こう。
「国広！」
手入れが終わったことを悟ると、和泉守はこちらに駆け寄って堀川のそばに膝をついた。
しかし、堀川はまだ目覚めない。
「おい、手入れは問題なく終わったんだよな？
なんで国広は目を覚まさねぇ！」
「落ち着いて、大丈夫だから。
たぶん、長期間手入れしないまま放置されたせいで、霊力が流れ出して枯渇しちゃったんだと思う。
このまま安静にして、しっかり眠ったら、ちゃんと目を覚ますよ」
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774(プロフ) - キリンミカンさん» ありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです(*´ ˘ `*)これからも頑張ります〜！ (11月3日 14時) (
レス) @page22 id: 69f96811e5 (このIDを非表示/違反報告)
キリンミカン - こういう作品を探していました…！好きすぎて毎日見に来ています。体調に気をつけながらも更新がんばってください！ (11月3日 12時) (レス) @page20 id: e14e8e6fbd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：寒蘭 | 作成日時：2023年10月27日 17時
