第1話 ページ3
僕の声に呼応するように、門がゆっくりと開いていく。
審神者一人ではこの大きな正門を開けることはできないので、こうして扉に流した霊力と声で審神者を識別し、自動で開閉するようになっているらしい。
元々この本丸の主は僕ではないけれど、引き継ぐにあたって新たに審神者として登録されたので、こうして門の操作が可能だ。
しかし、しばらく操作されていなかったらしい門は建付けが悪くなっているのか、ギギギッと嫌な音を立てて中々開き切らない。
もしかしたら、中で誰かが開かないようにしているかもしれないけど…
幸先の悪さを感じて息を吐きながら、改めてここに来た目的をおさらいする。
ここは、所謂「ブラック本丸」と呼ばれる、正常な運営がされず崩壊した本丸。
僕は、この本丸を立て直すためにやって来た。
資料によるとここの前任審神者は、相次ぐ無茶な出陣や遠征、男士への体罰、さらには夜伽まで強制していたらしい。
まぁ、典型的なブラック本丸と言えばそうらしいけど…
仮にも相手は神様だぞ？
祟られるとか思わなかったのかな。むしろ祟らなかったのか、ここの男士は。
付喪神からしたら、人間なんてどうとでもできるだろうに。
それをしなかったのは、制約かまじないでもかけられていたのか、それとも──
「──何を考えこんでいる？もう開いているよ」
訝しむような声に意識を引き戻され、顔を上げると確かに門は完全に開いていた。
門から延びる石畳の先には和風の屋敷があり、玄関のようなものも見える。
けれど、見たところ近くに刀剣男士の姿はない。
どこかに隠れているのか…と思案していると、頭上で挑発するような声が響いた。
「ここまで来て怖気づいたのかな？いいんだよ、引き返しても」
「まさか。この程度で怖がってたら、僕はとっくの昔に落命してるよ。
それに…僕がここで引き返したら、その瞬間君は僕を斬るでしょ？」
「ふふ、わかってるじゃないか」
大輪の花も恥じらうような美しい笑みを浮かべる長義に「怖い怖い」と肩をすくめて、何のためらいもなく門をくぐる。
その後に長義が続いたのを確認してから、「閉門」と宣言して門を閉じた。
さぁ…いよいよ、ここからが本番だ。
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774(プロフ) - キリンミカンさん» ありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです(*´ ˘ `*)これからも頑張ります〜！ (11月3日 14時) (
レス) @page22 id: 69f96811e5 (このIDを非表示/違反報告)
キリンミカン - こういう作品を探していました…！好きすぎて毎日見に来ています。体調に気をつけながらも更新がんばってください！ (11月3日 12時) (レス) @page20 id: e14e8e6fbd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：寒蘭 | 作成日時：2023年10月27日 17時
