第18話 ページ20
抜け落ちていた重要なことに気づかされたと同時に、これが牽制であることを悟って額に冷や汗が滲む。
恐らく、先ほどの長義との内緒話は、聞かれていた。
どの程度の内容まで聞かれたのかは不明だが、少なくとも二人で怪しい動きをしてしまったことに変わりはない。
それを諫め、見逃してくれたのだ。三日月は。
なぜここまで手心を加えてくれるのかわからないが、その気遣いは素直に受け取っておく。
本当に読めないな、三日月宗近…
前を歩く三日月の後ろを、先ほどよりも接近して歩く。
長義も気まずそうにしているが、少しは反省してくれたようで何よりだ。
というか、別に長義はここまでずっと一緒に来る必要はないだろうに、心配性だなぁ。
僕ってそんなに何かやらかしそうに見えるんだろうか、と自分の頬をむにむにと揉んでいると、間もなく手入れ部屋に辿り着いた。
「ここだ」
手入れ部屋と書かれた木札が下がった部屋が四つある。
そのうち、三日月が示した部屋の障子の前に立ち、手をかける。
三日月は障子の前には立たず、横にそれて待機していた。
…何か嫌な…面倒くさい予感がするな。
手入れ部屋の中から、こちらに向けられている明らかな殺意をひしひしと感じる。
早く手入れしたいのに、一筋縄ではいかなさそうだ。
息を一つ吐いてから、意を決して障子を開け放った。
その瞬間、奥から飛び出してきたのは刀。
またこのパターンか、とため息をつきたくなるが、それを我慢して回避する。
今度は先ほどのように連続で攻撃されることもなく、すぐに相手が距離を取ったのでそちらに目を向けた。
「よぉ、新任…オレの不意打ちを避けたことは、褒めてやるぜ」
「そりゃどーも、和泉守兼定。
手入れがしたいから、そこあけてくれる？」
手入れ部屋に一歩も踏み込ませないといった気迫で刀を向けるのは、和泉守兼定。
しかし彼もまた重傷で、頭や手足に包帯が巻かれており、左腕がない。
そんな状態でなぜここまで…と思い室内に目を走らせれば、奥に堀川国広の姿が見えた。
ほかにも数振りの刀が布団に横たえられており、この部屋で意識があるのは和泉守だけのようだ。
なるほど、彼らを守るために…
僕のことを「新任」と呼んだということは、一応国広たちから話は聞いたのだろう。
だが、大事な仲間を傷つけられまいと、立ち向かってきているわけか。
パッと見た感じ、一番まずい状態なのは堀川だな。
少しの衝撃で折れてしまいそうだ。早くしないと。
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774(プロフ) - キリンミカンさん» ありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです(*´ ˘ `*)これからも頑張ります〜！ (11月3日 14時) (
レス) @page22 id: 69f96811e5 (このIDを非表示/違反報告)
キリンミカン - こういう作品を探していました…！好きすぎて毎日見に来ています。体調に気をつけながらも更新がんばってください！ (11月3日 12時) (レス) @page20 id: e14e8e6fbd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：寒蘭 | 作成日時：2023年10月27日 17時
