第16話 ページ18
「──どうするつもりだ？」
ようやく話がまとまり、三日月の案内で手入れ部屋まで向かう途中、前を歩く三日月から少し距離を置いたところで長義が囁いた。
わざわざ僕の身長に会わせて身をかがめ、蚊の鳴くような声で話してきたということは、三日月には聞かれたくない内容だろうか。
三日月は前を向いていて、こちらに気づいていない。
そんな案内役の様子に注意しながら、僕も聞き取れるか聞き取れないかくらいの小さな声で返答した。
「なんのこと？」
「君もわかっているだろう？初代の審神者が失踪したのは、もう十五年も前だ。
生存率は非常に低い上、生きていたとしても五体満足かわからない」
「まぁ、そうだね。でも、可能性はゼロじゃない」
「だとして、どうするんだ。審神者が帰ってくるまで黙って待つのか？
…君には、三か月しか猶予がないのに」
諭すような長義の言葉に、僕は唇を引き結ぶ。
そう…実は、この任務には期限がある。
それが、三か月。
たった三か月で、僕はこの本丸を立て直し、次の審神者に引き継がなくてはならない。
それができなければ…
「ふふ。三か月で立て直せなければ政府にコロされ、
一つでも約束を違えたら刀剣男士にコロされる。
確かにこれは超難任務だね、んはは」
「笑ってる場合か」
呆れたため息をつく長義に、そんなこと言ってもなぁと首を傾げる。
だって仕方がない。僕には選択権がないのだから。
今日から三か月の間でこの本丸を立て直し、次の審神者に引き継ぐ。
しかし、恐らくここの男士たちは、初代以外の審神者を主と認めないだろう。
そうなると、ほかの新たな主を受け入れない以上、僕の任務は失敗となってしまう。
結局、初代の捜索も同時進行しなくてはならないのだ。
「ま、大丈夫だよ。生死はわからないけど、アテならある」
「アテ…？それは一体どういう──」
「──ひとつ、いいか？」
内緒のこしょこしょ話に突如割り入った三日月の声に、僕と長義は二人して背筋を伸ばした。
三メートルほど先を歩いていた三日月は、足を止めると、ゆっくりとこちらを振り向く。
…そういえば、刀剣男士って五感も人間より優れているんじゃなかったか。
この距離なら、もしかしたら聞かれたかもしれない。
まったく、タイミングを考えてよ長義！とまた内心悪態をつきながら、何でもない様子を装って「なんですか？」と聞き返した。
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774(プロフ) - キリンミカンさん» ありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです(*´ ˘ `*)これからも頑張ります〜！ (11月3日 14時) (
レス) @page22 id: 69f96811e5 (このIDを非表示/違反報告)
キリンミカン - こういう作品を探していました…！好きすぎて毎日見に来ています。体調に気をつけながらも更新がんばってください！ (11月3日 12時) (レス) @page20 id: e14e8e6fbd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：寒蘭 | 作成日時：2023年10月27日 17時
