第15話 ページ17
何でもないようにケロリと返答すれば、三日月の目はさらにぐっと細められた。
口元も隠されているせいで、感情が一切読み取れない。
国広と五虎退は、どこか気まずそうに顔を伏せている。
あれ、なんか思っていた反応と違うなぁ…
もっとフラットに「そうかじゃあお前の名前はナントカだ」とか言われると思ったのにな。
急にこんなしおらしくなって、どうしたんだろう…
思いもよらぬ空気の重さに居心地の悪さを感じていると、おもむろに三日月が手を降ろした。
現れた口元は、先ほどと同じく緩やかな弧を描いている。
「──"A"」
「……！」
三日月の口から、人の名前らしきものが紡がれる。
まさか、今のが…？
こちらを見据える
強い意志と淡い輝きを抱くその瞳から目が離せずに、こくりと生唾を飲み込む。
「お前の名前は、Aだ」
瞬間、ぶわりと内から何かが湧き出るのを感じた。
柔らかで温かい風が周囲を包み、やがてそれらは空へと舞い上がると、キラキラと太陽に反射して霧散する。
「…どうやら、命名に成功したようだね」
空を見上げた長義の言葉にハッと意識を取り戻し、一つ咳ばらいをしてから改めて向き直る。
「命名、感謝します。
この時を以て、僕の真名はAとなりました。
これは、どうぞあなた方の心に留めておいてください。
そして、僕が間違いを犯した時は、その名で僕に償いを与えてくださいね」
「…あいわかった。約束しよう」
友好の意を示すために朗らかに笑って見せると、三日月も同じように笑い返してくれる。
一方の国広と五虎退は、何とも言えぬ微妙な表情で互いに目を見合わせていた。
…普通、国広や五虎退の反応が普通なんだけどな。
どうして三日月だけ、こんなに友好的なんだろう。
しかし今は、それを考える暇はない。
これからやることがたくさんある。問題も山積みだ。
とりあえず今最優先でやらねばならないのは、負傷した男士たちの手入れかな。
「山姥切国広と五虎退は、一期一振たちの方に行ってください。
最悪、混乱や暴動が起きるかもしれません。
本丸最古参のあなた方の説得が不可欠です」
「…承知した」
「わ、わかり、ました…！」
目配せをしてから駆け出した二振りを見送って、三日月には手入れ部屋までの案内を頼んだ。
審神者不在のため手入れ自体はできないものの、負傷者は全振り手入れ部屋で安静にしているらしい。
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774(プロフ) - キリンミカンさん» ありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです(*´ ˘ `*)これからも頑張ります〜！ (11月3日 14時) (
レス) @page22 id: 69f96811e5 (このIDを非表示/違反報告)
キリンミカン - こういう作品を探していました…！好きすぎて毎日見に来ています。体調に気をつけながらも更新がんばってください！ (11月3日 12時) (レス) @page20 id: e14e8e6fbd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：寒蘭 | 作成日時：2023年10月27日 17時
