第14話 ページ16
戸惑いながらも、総大将と初期刀の判断を信じることにしたのか、三振りは手分けして屋敷内へと散っていった。
「それじゃ、さっそくあなた方に真名を教えます。
そのあとは、すぐに負傷者の手入れをしにいきましょう」
残った三振りに向き直り、緊張した面持ちの彼らに笑いかける。
しかし、そこで待ったをかけたのは、それまでずっと静観していた長義だ。
「ずっと気になっていたのだけれど…
…ないものを、どうやって教えるのかな？」
「…は？」
今度は長義から落とされた爆弾に、また全員唖然とする。
やっぱり、最初に真名を教えると宣言した時、長義が動揺した理由はこれか。
いや、先に言わなかった僕が悪いのだけれど、今それを明かすのはやめてほしかったな。
ただでさえ情報過多で全員疲れているというのに、物事には順序がある。
それを通り越して次々と爆弾を投げ入れれば、そりゃあ誰だって困惑する。
あぁもうほら、国広なんておかしなものを見る目でこっちを凝視してる。
五虎退もなんか怯えちゃってるし…
三日月は、別に普通か。驚いてはいるけど。
まぁどの道話さなきゃいけないことだったし、いっか…と諦めていると、困惑する彼らを代表して三日月が口を開いた。
「真名がない、と？」
「えぇ、まあね。言ったでしょう？僕も訳アリだって。
真名もないし、両親が誰で、どこにいるかも知りません。
今まではずっと、他人からは"お前"とか"おいゴミ"とか、あとは番号で呼ばれてましたから」
肩をすくめて茶目っ気たっぷりにウインクしてみせると、なぜか三日月たちは悲痛そうに顔を歪めた。
おや？ここで初めて幸薄ムーブが効いたぞ？
今まで「敵」と認識していたものが、今後「主として共に生活する存在」という認識に変わったから、とか？
まぁどうでもいいか…
ここで「ないものを教えるとはなんだ！やはり謀ったな！」と逆上されるよりはいい。
彼らが落ち着いている今のうちに、と僕の考えを話した。
「とりあえず、僕に真名がないのは事実です。
でも、僕はあなた方に真名を教えなければならない。
そこで…あなた方に、僕の命名をして頂きたいのです」
「ほう…命名、と」
口元を袖で隠し、ゆるく目を細める三日月。
その顔怖いからやめてほしいんだけどな。
「良いのか？付喪神に名付けさせるということは、つまり…
通常の真名よりも、ずっと言霊の効力は強くなってしまうぞ？」
「構いません。生憎と、僕の命は紙より軽いので」
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774(プロフ) - キリンミカンさん» ありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです(*´ ˘ `*)これからも頑張ります〜！ (11月3日 14時) (
レス) @page22 id: 69f96811e5 (このIDを非表示/違反報告)
キリンミカン - こういう作品を探していました…！好きすぎて毎日見に来ています。体調に気をつけながらも更新がんばってください！ (11月3日 12時) (レス) @page20 id: e14e8e6fbd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：寒蘭 | 作成日時：2023年10月27日 17時
