プロローグ ページ1
竹林の奥に続く、長い石畳の階段を上った先。
一度息を吐いてから顔を上げれば、そこには大きな門がそびえていた。
まるで何者の来訪も拒むような重苦しい空気に、高鳴る胸を鎮めるべく息を吐きだす。
「今日からここが僕の新しいお城かぁ」
その言葉に、隣に立っていた人影が呆れたようにため息をついた。
いや、自分でもわかってるけどさ。自分の今後がかかった任務を前にして、こんなお気楽でいるなんて、正気を疑われる。
それでも、今までいたところを思い出せば、この程度で気圧されなんかしない。
「…城主の身の安全は、保障されていないけどね」
どこか嘲笑するような声音でそう呟いたのは、僕の隣でふんぞりかえる麗人──山姥切長義だ。
今回、僕が任務を遂行するにあたって、時の政府から派遣された刀剣男士。
現在は本丸管理を主に執り行う部署に所属しているものの、以前は討伐課に勤めていたこともあったらしく練度が高い。
そのため、僕が今回配属された本丸──ブラック本丸と呼ばれるこの場所で、何かトラブルが起こった時に対処できるようにと、彼が同行者として選ばれた。
「そのためについてきてくれたんでしょ？」
「勘違いしないでもらえるかな。君はただの監視対象…護衛目的じゃない」
へらりと笑いかけてみれば、返ってくるのは氷のような眼差しのみ。
実際、長義の言うことは正しいのだから仕方がないけれど。
僕は、政府からの派遣でここに来た。
しかし、僕は政府の人間ではない。
むしろ──敵だ。元、だけれど。
いくら面倒で厄介な黒本丸だろうと、己の懐に変わりのない場所に、そんな人間を単身で送り込むわけにはいかない。
長義の言った通り、彼は僕が政府側に不利な企みをしないよう、監視するためについてきたのだ。
「ははっ、ちょぎたんキビシー」
「変な呼び名をつけるのはやめてくれないか」
それでも、なんだかんだ彼は優しい。
こんなくだらない問答にも付き合ってくれるのだから。
まぁ…一緒に任務をするにあたって、幾度となく顔合わせもしていたし。
そのおかげで、囚人と看守みたいな関係よりはマシになったかな。
「さて…そろそろ行きますかね」
「あぁ。くれぐれも、入って早々切り伏せられるなんて無様な真似はするなよ」
「善処しまーす」
いつもの調子でそんな軽口を叩いてから、入るのを躊躇うような、肌を刺す殺気が漏れる門に手をかける。
鬼が出るか蛇が出るか…僕は、意を決して「開門」と宣言した。
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774(プロフ) - キリンミカンさん» ありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです(*´ ˘ `*)これからも頑張ります〜！ (11月3日 14時) (
レス) @page22 id: 69f96811e5 (このIDを非表示/違反報告)
キリンミカン - こういう作品を探していました…！好きすぎて毎日見に来ています。体調に気をつけながらも更新がんばってください！ (11月3日 12時) (レス) @page20 id: e14e8e6fbd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：寒蘭 | 作成日時：2023年10月27日 17時
