【刀剣乱舞】帰ってきてください、主、切実に

二十九話*それは突然に ページ36

姫鶴side





「…本当、貴方とは大違いのお人よ。」


何を、何てことを口にしたんだ私。



「姫、ちゃん……」

「姫鶴!貴様主に対して何て事を…!」



「だって事実じゃない。日課は溜めるし、すぐに何処かに行くし、
…すぐに手を出す節操無しのくせに。」



どうして、こんな事しか言えないの…っ!




「私は貴方を、貴方なんかを主と認めない。絶対に。
私の主は千秋様だけ。貴方なんて足元にも及ばない、素敵な人なんだか」



ﾊﾟｧﾝｯ


乾いた音が広間に響く。
…頬が痛い。





「っ、何するの…薬研…!」


私の目の前には、悲しそうに顔を歪める薬研の姿があった。




「姫鶴。いくらなんでも言い過ぎだ。
大将も青江の旦那に謝ったんだ。もう許してやれ。」

「何言ってるの?もしかしたら、貴方もあの女に汚されるかもしれないんだよ?






…それなら、主なんていらない。






薬研に一期、長谷部に宗三…皆と一緒がいい。」





ああ、私はどうしてこんな事しか言えないの…っ!






ｶﾞｼｬｧｧｧｧﾝｯｯｯｯｯｯｯｯｯ!!!!!


「「「!?!?」」」



突然、劈くような破壊音が轟いた。
慌てて襖を開ける。そこには＿＿







「検非違使…!」


どうして此処に…!?




端末の画面には、要約すると【バグ】と書かれていた。





「検非違使襲来!」

「総員出陣!誰一人折れるな!」



けれど、今はそんなこと言ってる場合じゃない。




この本丸を、


千秋様が守ってきたこの本丸を、壊されてたまるか。

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