交わり ページ6
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結局、彼がご飯に口をつけてくれたのは一週間経ってからだった。そろそろ食べてくれるといいけどと様子を見に行った時に箸を危なげな手つきで持ちながら手を伸ばしていた時のあの時の感動と言ったら、言語化するのは難しいほどだった。もしかしたら箸の使い方がわからなかったのかもと焦った気持ちもありはしたが、それはそれ。強いて言うなら絶対に懐かない野良猫がこちらに歩み寄ってきてくれた時の感覚。思わず無言でガッツポーズしてしまったのは言うまでもない。
というか、天使という生き物はすごい。だって一週間飲まず食わずで微動だにしなくても生きていけるんだから。異端種族ってみんなこうなんだろうか？周囲に彼以外存在していないからわからないが。
そう思いながら、小さくノックをする。いつもならそろそろ食べ終わっている頃だろうから。それに、包帯を変えなきゃ。
ご飯を食べてくれるようになったとはいえ、さすがに天使は私が翅に触ろうとすることを嫌がっていた。怪我が悪化してしまう、包帯を付け替えたいだけなんだと身振り手振りで説明しても、聞く耳を持たなかった。なら実力行使で、と手を伸ばした時、自分の身を守るように肩を押さえた姿を見てしまってからは余計なことはできなかった。寝てる間に変えようとしても触れる寸前に起き上がってしまう。そして、あの透明な目を向けるのだ。
(それが従兄弟のあの子に重なるからなんて、口が裂けても言えないが。それにしたって包帯は変えないとまずい)
異端種族がどうかはわからないけれど、傷口は清潔にしないといけない。そう意気込んで部屋に入ると、いつも通りのベッドの上に天使がちょこんと座り込んでいる。一瞥しながらお盆を覗けば茶碗と汁椀、そしてお茶が入ったコップまで空だった。にやけそうになりながらもなんとか我慢して、天使の方に視線を向ける。カーペットの一点を見つめる濁ったスモーキー・クォーツとかちあった。
「あのさ」
「ーーーーーー」
川のせせらぎのような落ち着いた調べ。彼は少しずつ、本当に少しずつだが威嚇と警戒の目を緩めて行った。今では、私が同じ部屋に入って一緒に過ごしていても一瞥するくらいで攻撃してくることもない。ただ、目のぽっかりと空いた伽藍堂や虚な佇まいは変わることはないけれど。何か、あったんだろうなぁ。そう思えどこれを聞くのは人として無神経すぎてできそうもない。
けれど、少しずつ歩み寄っていけるなら、それが一番いいことだ
「ねぇ、触ってもいい？」
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利き手(プロフ) - ずぎ......ずぎ.........なんかもう言葉で表せられないほどすきです......更新待ってます........... (4月25日 18時) (
レス) @page26 id: cb93d75c77 (このIDを非表示/違反報告)
、 - この作品に一目惚れしました！！！更新頑張ってください！待ってます！！ (6月11日 22時) (レス) id: b2a72ce1c2 (このIDを非表示/違反報告)
海月(プロフ) - コメント失礼します。少し前から拝読しているのですが、仕草や声の一つ一つに自然の意思が宿るような、人ならざる描写が美しく、惹きつけられました。今後二人がどのように交流していくのかが楽しみです。どうか作者様の無理の無い範囲で執筆頂ければ幸いです (2023年4月22日 2時) (レス) @page24 id: 9675cfd2c8 (このIDを非表示/違反報告)
ある(プロフ) - 更新本当にありがとうございます！！ずっと楽しみにしておりました、作者様のペースで進めて頂けると幸いです！ (2023年4月21日 23時) (レス) @page24 id: 7187551de4 (このIDを非表示/違反報告)
ペペロンチーノ（25）(プロフ) - 更新待ってます！ (2023年4月16日 15時) (レス) @page23 id: c1a1942ea9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：プロシオンの烙印 | 作者ホームページ：https://mobile.twitter.com/6zp7JIEaL24NfiM
作成日時：2022年10月3日 16時
