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審神者というのは案外暇でもなく、私は目まぐるしく日々を過ごしていた。
それでも刀剣男士たちと過ごす時間は確保し、全ての刀剣男士たちが公平となるよう努めた。
もちろん一部の刀剣男士に関しては全くの無警戒というわけにはいかなかったけれど、彼らにも他の刀剣男士と同じく敬意と愛情を示すことだけはやめなかった。
するとそれに応えるように、彼らもいつも通りに接してくれていた。
三日月を初めとした三条派は、油断すれば名前を聞いてきたり、見た事のない果実を贈ってきたり、新月の晩に部屋を訪ねてきたりと、鶴丸が懸念していたことを綺麗に片端からやってのけていた。
しかしおそらく彼らは最早隠す気もなくなっている。
この前なんていつもの様に躱していたら「いい加減諦めて嫁に来たらどうだ」などと言い出す始末。
それはそれで警戒しやすくて有難いので、まぁ良しとしているが。
一方鶴丸はたまに表情に翳りを落とすのが気になってはいたけれど、それはごく稀なこと。
何より通算二十六も私を深めの落とし穴に落として童の如く喜んでいるところを見ると、それすらも私を騙し込むための布石なのではないかとすら思い始めているところだった。
一期も初めの頃が嘘のように穏やかで、むしろ弟たちを含め粟田口派の刀剣男士たちの私への感心は、日増しに強くなっているようにすら感じた。
予想外だったのは、清光だ。
「清光、万屋についてきてくれる？」
「ん、わかった」
公平にといくら頭で考えていたとしても、正直なところ私の態度は最初、かなりぎこちなかったと思う。
しかし清光はそんな私を見兼ねてか、何事も無かったかのように私に応えた。
それが何度か繰り返されれば、私のぎこちなさも次第に消えていって、今はもう書庫での一件が起こる前の関係値に戻っているように思う。
「爪紅買っていい？安定の奴が割っちゃってさぁ」
溜息混じりに言って唇を尖らせる清光に、小さく笑う。
「いいよ。この前の誉のご褒美に、私が買ってあげよう」
「えっ本当？」
目を丸くする清光に頷くと、その瞳が輝いた。
「やった〜！ありがと主！」
言って、目先に見えてきた万屋に駆け出す。
その姿を微笑ましく見守りつつ、私もそのあとにゆっくりと続いた。
「……」
この平穏が、どうか少しでも長く続きますようにと願いながら。
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ぽん(プロフ) - 嵯峨野ルナさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます…！しばし離れていたジャンルですので少々浦島ですが、こんなお言葉を頂けてありがたい限りです…！ら良ければお暇なときにでも、引き続きお付き合いくださいませ (10月14日 14時) (
レス) id: 87fc64d822 (このIDを非表示/違反報告)
嵯峨野ルナ(プロフ) - 最高な作品に出会えて嬉しいです。お体に気を付けて、更新楽しみにしております！ (10月14日 10時) (レス) id: 58baba6999 (このIDを非表示/違反報告)
嵯峨野ルナ(プロフ) - 初めまして！コメント失礼いたします。とても素敵な作品で1日に2度も繰り返し読んでしまいました。綺麗な言葉遣いでキャラクターの魅力が惹き立っていますし、夢主も私好みでキャラ達との関係も今後が非常に楽しみです！ (10月14日 10時) (レス) id: 58baba6999 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽん
| 作成日時：2023年10月9日 16時
