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「…いやなに、俺は君を驚かすのに退屈しないから、近侍を任されたことになんの文句もないんだがな」
鶴丸の視線は私から中庭の方へ向かい、私もその視線を追う。
「！」
と、丁度安定と話していたらしい清光と目が合った。
私は慌てて顔を背け、机に向かう。
動揺を誤魔化すように手近にあった巻物を広げてみるけれど、その内容はひとつとして頭に入ってこなかった。
「おお、こりゃ重症だな」
私の様子を見ていた鶴丸は、驚いた口振りでそう言った。
「貴方、今わざと────」
「君がやっていることは問題の先延ばしに過ぎないぞ」
むっとして鶴丸に抗議しようと出た言葉は、鶴丸の言葉によって遮られる。
「根拠も無しに信じろと言ってるわけじゃあないさ。ただもう少しやり方を変えても…」
「わかっています」
諭すようにして話をする鶴丸の言葉を、今度は私が遮った。
「わかっています……でも、見て見ぬふりをしてこれまで通り接することが出来るほど強くも、器用でもないんです」
清光を信じたい気持ちはあっても、今は同時に同じだけの疑いもある。
鶴丸は、私の言葉をただじっと聞いていた。
「…ま、加州にとっては特に、近侍を外されることが酷なことなのはわかってやれよ」
「？どういう…」
私の疑問には答えず、鶴丸が立ち上がる。
「さて、俺は今日の当番仕事をしてくるぜ」
ひらりと手を振る鶴丸を自由なものだと呆れ半分に一瞥し、机に向き直って仕事を再開する。
「っ…、」
「？」
しかし、軽快な足取りで部屋を出ようとしていた足音が不自然に止まり、私は再び振り向いた。
「……はは、参ったねぇこりゃ」
どうしてか部屋を出る手前で足を止めた鶴丸は、肩を竦めて部屋の中に戻ってきた。
「内番はどうしたんです？」
中庭に背を向けて座る鶴丸に尋ねると、彼は小さな動作で「外を見ろ」というように首を捻った。
「……？」
その動作に従って中庭を見て、私は息を呑んだ。
中庭から安定越しにこちらを見る…というより、最早睨むとすら言っていいような鋭い眼光が、こちらに向かっていた。
思わず顔をうつむける私に、鶴丸が困ったように笑う。
「近侍を変えるってのはちと性急だったかもしれんな」
よっぽど俺が近侍をするのが気に入らんらしいぞ、と言って、鶴丸はため息をついた。
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ぽん(プロフ) - 嵯峨野ルナさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます…！しばし離れていたジャンルですので少々浦島ですが、こんなお言葉を頂けてありがたい限りです…！ら良ければお暇なときにでも、引き続きお付き合いくださいませ (10月14日 14時) (
レス) id: 87fc64d822 (このIDを非表示/違反報告)
嵯峨野ルナ(プロフ) - 最高な作品に出会えて嬉しいです。お体に気を付けて、更新楽しみにしております！ (10月14日 10時) (レス) id: 58baba6999 (このIDを非表示/違反報告)
嵯峨野ルナ(プロフ) - 初めまして！コメント失礼いたします。とても素敵な作品で1日に2度も繰り返し読んでしまいました。綺麗な言葉遣いでキャラクターの魅力が惹き立っていますし、夢主も私好みでキャラ達との関係も今後が非常に楽しみです！ (10月14日 10時) (レス) id: 58baba6999 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽん
| 作成日時：2023年10月9日 16時
