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「……夜、」
目を覚ましてすぐ、先程の記憶が鮮明に思い起こされた。
ここに来て二月になろうか。警戒を怠ったことはないと、自分では思っていた。
どうして清光のことは、当たり前のように懐を許していたのか。
「はぁ……」
有り得ない話ではなかった筈だ。
今思えば不審な点だっていくらかあったのだろう。
見えていなかった。それが眩むほど、傍にいることを許してしまっていた。
いつか鶴丸が言っていた『加州が体を張って俺たちを護った』という言葉。
あのとき、清光はバツが悪そうにして、鶴丸と目を合わせなかった意味が今になって腑に落ちる。
あれは政府との何らかの取引をしていることを指しているのだと勝手に思い込んでいたけれど、おそらくは違う。
いいや、それもあるかもしれないが、鶴丸があのとき指していたのは前審神者の殺害のことだったのかもしれない。
「とにかく起きない…と、」
身体を起こそうとして、やっとすぐ近くに誰かが控えていることに気が付く。
「！！」
私はその姿を見て、声を上げそうになった。
「き……よ、みつ…」
思わず両手で押さえつけた口元の指の隙間から、声が漏れる。
しかし、清光はどうやら座ったまま眠っているようだった。
「……」
私の片手を握ったまま眠る姿に、様々な感情が沸き起こって綯い交ぜになる。
清光が審神者殺しの下手人だったとしても、この二月私を護ってくれていたのは事実。
しかし、自分にそう言って聞かせたところで胸の奥底にはまだ迷いと疑念が渦を巻いていた。
騙されていた？
そうでないなら何故黙っていたのか。
私が油断した隙に殺すつもりだった？
であればそんな機会、今までにいくらでもあった。
「…わかるわけがない」
事実など、当人にしかわからない。
ただどちらにせよ、このような状態で清光をこれまで通り傍に置くことはできない。
少し、距離を置いた方がいいかもしれない。
私は深く眠っている清光からそっと手を抜き取り、音を立てないよう布団から出る。
「……」
部屋を出る寸前、眠る後ろ姿を見て心臓がちくりと傷む。
私は傍に置いていた羽織だけをそっと清光に掛けて、部屋を出た。
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ぽん(プロフ) - 嵯峨野ルナさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます…！しばし離れていたジャンルですので少々浦島ですが、こんなお言葉を頂けてありがたい限りです…！ら良ければお暇なときにでも、引き続きお付き合いくださいませ (10月14日 14時) (
レス) id: 87fc64d822 (このIDを非表示/違反報告)
嵯峨野ルナ(プロフ) - 最高な作品に出会えて嬉しいです。お体に気を付けて、更新楽しみにしております！ (10月14日 10時) (レス) id: 58baba6999 (このIDを非表示/違反報告)
嵯峨野ルナ(プロフ) - 初めまして！コメント失礼いたします。とても素敵な作品で1日に2度も繰り返し読んでしまいました。綺麗な言葉遣いでキャラクターの魅力が惹き立っていますし、夢主も私好みでキャラ達との関係も今後が非常に楽しみです！ (10月14日 10時) (レス) id: 58baba6999 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽん
| 作成日時：2023年10月9日 16時
