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そういえばあのとき、贈り物はふたつと言っていたけれど……
「もうひとつの贈り物というのは何だったのですか？」
ふと気になって尋ねてみると、一文字則宗は「ああ」と思い出したように漏らしてから、にやりと悪い顔をして清光を見た。
「これはどちらかと言うと、そこの坊主のためのものだな」
その悪戯っぽい表情に、首を傾げる。
清光に尋ねているように思えるが、当の清光もその意図は読めない様子だった。
「まぁ、もう終わったことだ」
一文字則宗は顔の前で開いていた扇子を閉じると、上機嫌に踵を返す。
「それより、一度お前さんの本丸に戻った方がいいんじゃないか？」
「…そう、ですね」
任務が滞らないようにという可愛げのない理由ではあるものの、政府から預かった連絡手段で様子は知っている。
けれどやはり、直接顔を見たい。
「でも…」
しかし、今は清光を連れて帰るわけにはいかない。表向き、今ここにいるのはこの本丸の加州清光なのだから。
了承があっての事とはいえ、この本丸の加州清光は、今隣にいる清光のために政府に渡っている。
そんなときに、清光を残していくのもはばかられる。
私が言い淀んでいると、清光がその表情を柔らかくした。
「俺なら大丈夫だから、戻って」
どうやら、考えていたことは筒抜けだったらしい。
「…それじゃあ一度帰ってくるけど、本当に平気？」
念押しするように尋ねると、清光が可笑しそうに笑う。
「だーいじょうぶだって！心配しすぎ」
清光はそう答えるものの、私は不安ではあるまいかと、その後も何度か同じやり取りが続いた。
しかし結局、大丈夫だと言い切る清光を置いて、私は本丸に戻ることとなった。
あっという間に大門の前まで戻ると、一文字則宗と清光が見送りをしてくれた。
「清光、本当に大丈夫なの？」
未だに不安が残る私が聞いてみると、清光が困ったように笑う。
「も〜…本当に心配性なんだから」
そんな清光に一歩近付いて、彼の背中に腕を回した。
本丸に戻るだけ、これは別れですらないとわかってはいても、離れるという事実に不安が押し寄せた。
「……必ず戻るから、待っていて」
「っへ…？」
驚いた声を上げる清光から、一文字則宗に視線を移す。
「この子を頼みます」
頭を下げると、一文字則宗は上機嫌に目を細めた。
「ああ、任されるとしよう」
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しう - きゅんきゅんさせてもらいました、、、 (1月30日 23時) (
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作者名：ぽん
| 作成日時：2023年10月21日 12時
