茜の蓬莱蕉 (ページ27)

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霊力の供給を終えると、少しして管狐が姿を表した。

「審神者様には先に文書で通達しておりますが、最終確認です」

加州清光の処分は政府の刀剣男士からの意見を汲み、三ヶ月後となっていた。しかし本件は対応が急がれる案件であるとして、政府は本来三ヶ月後に実施される予定であった検査を前倒しにした。その日取りは十日後である。

こんのすけはそこまで説明を終えると、私と、清光と立ち位置を入れ代わった加州を一瞥した。

「検査当日は言葉を交わすことも不可能、これが最後の機会となるでしょう」

管狐はおそらく、今のうちに別れを済ませておけと言っているのだろう。

どうやら入れ替わりには全く気付いていないらしい。

ざまぁないな、といささか性悪なことを思いながら、牢の前に立つ加州に向き直る。

演技、と言うまでのものでもない。ただもし、なんの術もなく、今目の前で牢の中に戻ろうとしているのが清光であったならと考えれば、

「……少しだけ、お時間を頂けますか」

私は清光を振り返って、いつも加州にするように礼儀正しく頭を下げる。

「清光、」

その後再び加州に向き直って、両腕でめいいっぱいにその身体を抱き締めた。

「っ…、」