茜の蓬莱蕉 (ページ21)

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今回の清光の一件のように、政府はそれぞれの本丸の刀剣男士たちをシステム上で管理している。

主である審神者に対して何らかの背反意思が感知され、かつそれが任務に支障を来すと判断された場合にしばしば処分を受けることがある。

しかし、これまで政府がやってきたことは管理というのもおこがましいほどに杜撰なものだった。

だからこそ、これまでに審神者の殺害や神隠しを防げていなかった訳だが。

それがどういうわけか、今回はかなり早い段階で対応が行われた。

そこには何かがあるのだろうが、如何せん情報が無さすぎて判断どころか推察すらできかねているのが実際。

加州清光の提案を呑むにしても、他の策を取るにしても、行動を起こすにはまだ準備が足りない。

あれこれと考えている私の背後から、心配そうな声が飛ぶ。

「ねぇ、やっぱり危ないんじゃない？」

私はそんな不安げな加州に「大丈夫です」とだけ答えて、間接照明に照らされた廊下を進んだ。

政府がどんな実態であるかは、多くの審神者や刀剣男士が知るところだが、表立っては国家の管轄。

余程の理由が無ければ、政府はただでさえ貴重な審神者を害するような真似はしないしできない。

審神者としての力の献上と銘打った人身御供などは、その余程の理由とやらになるらしいが。

エレベーターの前で足を止めて、その待ち時間にちらりと加州を見やる。

「先程も申しましたが、無理に同行して頂かなくても大丈夫ですよ」