茜の蓬莱蕉 (ページ17)

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「仲間からも私からも疎まれる可能性がある役回りを引き受けてくれたんだし…」

最低な人間だって、そう思わせて欲しかった。

「優しいね」

やめてよ。

期待させるようなことしないでよ。

「清光、ひとつだけ伝えておきたいことがあるんだけど」

そんな小さい身体で、何ができるの。

「貴方のことを…貴方たちのことを絶対に傷付けないということだけは今ここで約束するよ」

そんな言葉ひとつで、何が変わるの。

「もし私がこの約束を違えそうになったときの私の処分は君に任せる」

どうして、

「…なんていうか、」

どうして、諦めさせてくれないの。

「熱烈だね…っはは、ほんと」

じわりと熱くなった目元に滲んだそれの意味が、わからなかった。

「……参っちゃう」

笑いがこみ上げてきたのが、怒りからなのか、呆れからなのか、疲れからなのか、全く分からなかった。

「あんたのこと、まだ信じるとは言いきれない。でも」

だけど、あんなに気が抜けたのは久し振りだった。

「…誠意を示してくれた分は、ちゃんと返さなきゃね」

こんなに小さくて脆くて、か弱い人間なんて、万一があればすぐにどうとでもできるって、そう思ったから。

だから、少しだけ。

「今の約束を守ってくれる限りは、何があっても俺があんたを護る」

ほんの少しだけ、

「だから……可愛がってね、主」

知りたくなったって、それだけだった。