茜の蓬莱蕉 (ページ12)

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私の対応が図らずも亀甲貞宗を喜ばせてしまったが、あのあとは雪崩込むように刀剣男士たちから感謝の言葉を受けた。

お礼を言われるようなことはしていないと返す私に、それでも彼らは感謝の意を示した。

私の言葉が謙遜ではないことを知らない彼らの穏やかな表情に良心を痛ませながらも、いつの間にか始まっていた宴を抜け出して少し。

「ありがとね」

縁側で風にあたる私の隣に、加州清光が腰を下ろす。

「…私は、お礼を言われることなど何も」

「あはは、さっきからずっとそれだね」

彼の言葉に押し黙っていると、少しして彼がこちらを覗き込む。

「…話せそう？」

その言葉に、心臓が大きく跳ねる。

「……」

一体どうして、彼らを利用するなどと言えよう。

清光と同じく、主の居なくなった本丸で仲間を護ってきた彼に向かって。

彼は何も答えない私を覗くのをやめると、後ろ手に手をついて月の浮かんだ空に目をやる。

「…そっちの俺はさ、よっぽどあんたに愛されてんだね」

彼の言葉はまるで私が言わんとすることを見越しているかのようで、私は驚いて彼の方を見る。

彼はそんな私の視線を受けて、可笑しそうに目を細めた。

「政府が今まで放ったらかしにしてた本丸に、貴重な審神者を送るのも不自然だし…当の審神者が何の利点もなくそれを受け入れるのも有り得ない」