茜の蓬莱蕉 (ページ1)

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私の手を掴んだのは、短刀たちだった。

「…危険です、おひとりで向かわれるなど」

「ぼ、ぼくも…連れて行って下さい」

その子たちからやんわりと手を外して、その髪を撫でる。

「心配してくれてありがとう」

彼らと目線の高さを同じにして伝え、そっとその小さな身体を抱き締めた。

「……」

こんな小さな身体で、戦っている。

いくつもを護っている。

そして彼らを護った彼を、助けなければならないのは主である私のつとめ。

けれど主として、今まで彼らに、彼に、何をしてあげられただろうか。

できたことなど、ほんの瑣末なことばかり。

だからこそ、今。

「…私も、闘わなければ」

そっと彼らを腕から解放して、立ち上がる。

「主の不在を守るのも、立派なつとめです」

泣きそうになっているその子たちを、今度は見下ろした。

主としての言葉を届けるために。

聡いその子たちは、その些細な変化を感じ取ったのか、未だに不安そうな表情はそのままに片膝をついた。

「…御心のままに」