【朔間凛月】again (ページ14)

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白夜ページ14

リッツが戻ってきたとき、みなが驚いた顔をした。

それは俺だって例外じゃない。血まみれの服を着て、血まみれの宝石を持ったリッツなんかみたことがなかった。

俺の元へ来ると、無言で宝石を突き出される。

受け取ると、渡される前に血はふき取ったらしく、美しく輝いている普通の宝石だった。

これに三億の価値もあるのかー？と思いながら眺めていると、リッツが俺の前から立ち去っていないことに気がつく。

「ねぇ、王様」
「ん？」
「宝石の場所、本当は知ってたりしない？」

読めない瞳で見つめられる。
俺も同じように見つめ返した。

「俺が知ってたっていうならどうする？スオ～を見捨てる？俺のknightsだ。お前らのことは王である俺が一番わかってる」
「別にやることは変わってないよ」

深く深くため息を吐いて床に寝そべり始めたリッツ。おーい、さすがに汚いぞ？

セナが遠くから注意する。それをサラリと受け流すリッツはいつものリッツだ。

「かわってないけど、今回のはえぐかった。二度と怪盗なんかやりたくないって思うくらいにはトラウマだよね～」
「いや、俺に相槌もとめるなよ！まぁ、今回のことはさっき上から聞いてるから。あの家の娘を殺したのは確かに義親だからそいつらに処罰が下るだろうな！！」
「ふーん」

興味あるのか、無いのか。曖昧で分からないが、横になると秒で眠り始めるリッツが起きているという事は気にしているのだろう。

「はぁ…。シャワー浴びて寝るね～。ふあぁ……ねむい」
「後は任せろリッツ！」

眠そうにしながら向かっていったリッツの背中を見送っていると、ふと、足を止めた。

「はじめて自分が吸血鬼でよかったと思ったよ」

その呟きに首をかしげる。

だが、愛しげに一冊の日記帳を見つめているリッツに、俺は思わず笑った。

これから先、一人になる時期が必ずあるリッツを少なからず心配していたが、どうやら杞憂に終わったようだ。

「ほら、おうさま～？いくんでしょぉ」
「あ、セナ待って！！！」

輝く宝石と、資料を片手に、慌ててセナの元へと向かった。

I come again

再び出会う