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Episode 05 ページ5

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「幽霊さん……! おねがい、もうやめて……!」


 その瞬間、世界が凍りついたように止まった。自身の身体も動かない。まるで貼り付けられたように脳の命令信号を全て遮断されていた思考は何とか働く、早く解決策を見つけなくては……早く、早く。

――気が付けば、目に映るのは何も知らなさそうな人間たちが忙しなく世間話をしている、何時もの噴水広場だった。そう、何時もの。太陽はちゃんと出ているし、ましてや幽霊などどこにもいない。


「帰って来れたのか……?」


 呆けている俺に働けと言わんばかりに、携帯端末が振動する。電話の合図だ。手にとって、耳に当ててみる。「はい、中原です」


「おぉ中原くん。やあっと繋がったよ」
「首領!?」

「所で中原くん。君は――今までどこに行っていたんだい?」
「……!」

「いやなに、中原くんは決して仕事に怠ける人じゃないから、少し気になっただけだよ。個人的な興味として」
「それは――」

「言うも言わないも君の自由だけれど――一つ言わせて貰うと、出社時間はもう過ぎているし仕事が溜まってるかもしれないねえ」


 通話に意識が向いていた為、液晶(ディスプレイ)に表示されている時刻に気付かなかった。其れには、一二時とはっきり明記されている。「……直ぐに行きます!」



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 出社すると、中原は目にも止まらぬ速さで書類を捌き続けた。パソコンと向き合い、資料に目を通し、判子を押し……デスクワークに従事しながらも、部下の返答はきちんとする。言うなれば、最強の社畜である。


「中原幹部、例の異能力者についての資料を……」
「嗚呼、そこに置いておいてくれ」

「中原幹部、戦闘の報告書を……」
「そこに置いておいてくれ」


「中原幹部、幽霊についての資料をお持ちしました」

「嗚呼、そこに――って、は?」


 ぴたり、とこれまで動きっぱなしだった手の動きが停止する。頼んだ覚えの無い資料に否が応でも反応した脳内で記憶を辿るが結果は変わらない。ましてや、今の状態で。




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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 中原中也 , ポートマフィア   
作品ジャンル:アニメ
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あかねと愉快な仲間たち(プロフ) - 七葉さん» コメントありがとうございます…!ミステリー系なので続きが気になると言って頂けるととても嬉しいです(笑)頑張ります…! (2017年10月5日 19時) (レス) id: 41c6416ba0 (このIDを非表示/違反報告)
あかねと愉快な仲間たち(プロフ) - 姫蛍さん» コメントありがとうございます…!とても支えになります、こちらこそありがとうございました! (2017年10月5日 19時) (レス) id: 41c6416ba0 (このIDを非表示/違反報告)
七葉 - 設定とかスートリーが凄く私好みでその上とても面白いとはなんという神作品!凄いです!続きがスゴく気になります!更新頑張ってください! (2017年9月28日 15時) (レス) id: c2da3d0588 (このIDを非表示/違反報告)
姫蛍(プロフ) - 個人的に中也好きだから楽しんで読みました!!続きが気になりますっ!!イベント参加、有難うございました!! (2017年9月10日 18時) (レス) id: 569c06afa4 (このIDを非表示/違反報告)
あかねと愉快な仲間たち(プロフ) - コメントありがとうございます…!文が綺麗…はじめて言われました…!私は遅筆な方なのですが、読みやすく分かりやすい文章になるよう心掛けているつもりなのでそう言って頂けるととても嬉しいです。これからも是非よろしくお願いします…! (2017年8月30日 19時) (レス) id: 41c6416ba0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あかねと愉快な仲間たち | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/bosyixlcal15/  
作成日時:2017年8月21日 20時

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