22話 ページ24
「君は思いの外わかりやすい」
「……」
何も言えない。何をわかられているのか考えたくない。デュースを見つめていると、背中に回っていた手が首の側面に回って、親指だけで首を撫でられる。──待たれている。
息が弾んでしまって、背中を撫でられながら抱き竦められた。目を逸らすと、首を撫でる手はそのままに、反対側の手で俺の手を握り指を絡め、そっと恋人繋ぎにしてきた。
「……僕の方を見てほしい」
脳味噌が沸騰しそうになっている。全身に鳥肌が立っている。
これはなんだ？なんなんだ？恋愛か？俺は恋愛してるのか？わからない。何もわからない俺はわからない。ただ、こうすると相手の頭が上手く動かなくなることを、デュースは知っていると思った。デュースがこれを知っていてやっていることを、俺は知っていると思った。
「……お前何が要求だ」
「ん……？」
「いや違……う……ごめん、俺混乱してる」
「……かわいい」
余計な言い回しをされない直球な言葉。そろそろとデュースを見上げて顔を見てやると、本当に可愛いとでも思ってる顔してて、見たのを後悔した。
「俺は面食いなのか？」
「……」
「マジでわからんッ……ん……っ！」
突然顎を掴んで上げられてキスをされた。顔を盗み見てやるといつまでもガタガタ言っている俺に焦れたらしい。顎を掴まれている手の甲を引っ掻いていたのは反射で、やっていることに気付いて自分で少し驚いた。
手を引っ込めて好きにさせてやる体勢を作ると、しかしデュースは口を離した。
「……」
「……」
また見られている。こいつやってること犯罪者だよ、と叫びたくなる。逃げ道を塞がれている。俺も同じことした記憶がある。俺が喜ぶと思ってやってる可能性に思い当たって、また思考がめちゃくちゃになる。
ぐす、と鼻が鳴ったことにしか気付かなかったが、デュースはこちらへ瞳孔を揺らめかせて。
「……な、なん……」
「……」
「なんで泣いてるんだ……？」
俺は泣いているらしい。
よくわからなくて、手の甲で目に手をやって拭ったけれど、それよりバカみてーに火照って、酒も飲んでねーのにヒリヒリする頬の方が気になった。
もう考えるのやめてーんだけど、ってちょっと笑えるけど。
「……い、言ってくれないとわからない」
「……わからなくていい」
「わかりたい！」
マジでわかんねーらしくて、涙の量が増える気がした。本当に増えて、いよいよ止まらなくなっていて、笑うしかない。
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功徳(プロフ) - くずきりさん» わーい‼️全部読んでくださってる……いつもありがとうございます🥰今後ともよろしくお願いします💦 (11月10日 22時) (
レス) id: e0d582f997 (このIDを非表示/違反報告)
くずきり - 初コメ失礼します、語彙力イカレてますがぶっ飛びそうな位好きです。主可愛くて愛おしいしスペード可愛い極まりないのに最後でうわ〜て感じ噛まして来て、結局お互いの事も自分の事も一番みたいな…作者様の作品全部好きです応援してます、今後とも応援させて頂きます！ (7月28日 22時) (レス) @page47 id: cd8b5937a1 (このIDを非表示/違反報告)
功徳(プロフ) - ？？？さん» ありがとうございます！よかったです！嫁との仲直り（気色悪い隠語）はさぞかし優しくて愛情を感じるものになったと思ってます（でも結局夢主が最終的に結婚を認める形式で浮気を最初に許容したのが悪い） (5月29日 17時) (レス) @page50 id: e0d582f997 (このIDを非表示/違反報告)
？？？ - 初コメ失礼します。作者様の作品に一目惚れし、バットエンドやシリアスが好きになった者です。最後の最後にデュースが爆弾をぶっ込んで来て、頭を抱えていても立ってもいられなくなりコメントしました。作者様の書く小説が大好きです。失礼しました。 (5月28日 23時) (レス) @page50 id: fb57b657b4 (このIDを非表示/違反報告)
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