私の彼氏は気分屋すぎて困ります。【短編集】＊zwei

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…私はその一言に、不思議と元気づけられた。


そうだ…何考えてたんだろ、私…


まだ実行してもないのに勝手にそうと決めつけて、やろうともしないなんて。


「Aならできるって…私は信じてるから…」


フッ、と何処か儚げに笑った雅。


その顔からは、まるで彼女には過去に何か未練があったように感じられるが…


…そうだよね…雅の言う通りだよね…！


私の思考はそれで埋め尽くされていた。


「…有難う！頑張る！」


「おう！もし受け取ってくんなかったら、その時仁は公開処刑でいいよな！」


ニカッ、と快活に笑った彼女。


物騒なこと…たぶん冗談…を言う彼女に苦笑し、私たちは別れた。





「…大丈夫だよね…？」


家に着いた後、私は着替えて彼に渡す袋を持っていた。


大輝も、雅だって応援してくれたんだし、きっとうまくいく。


それにもし受け取ってくれなかったら仁は公開処刑されるらしいし…。(まぁ嘘だとは思うが)


「…行こう」


私は腕中の袋をぎゅっと握りしめながら決心し、家を出て彼の家へと向かった。




…彼の家の前まで来た。


でもやはり、緊張はするものだ。


本当に、受け取ってくれるか…迷惑じゃないか…


…でも、いい。


例え受け取ってもらえなくとも…それでもいいから…！！


私は複雑な心境の中、インターホンを鳴らした。


ピンポン、という独特の音が鳴り響く。


『…はい』


あまりにも応答が速かったため、私は驚いて背中を少し伸ばした。


聞こえてくるのは男性のもの。…彼のお父さんだろうか？


「えっ、あっ、あのっ、A、ですっ、仁はいます…か…？」


緊張のせいか声がうまく出ない。


これを彼に聞かれてなければいいのだが…


『…あー、A？待ってて、今行く』


しかし願いは儚くも。


応答したのが彼だと分かった時にはもう遅かった。


「…え…？？」


私が小さく声を漏らすと、玄関を開け仁が出てきた。

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