私の彼氏は気分屋すぎて困ります。【短編集】＊zwei

７　＜彼ｓｉｄｅ＞ ページ7

「おい仁、すげぇな〜」 「半分分けてくれよ〜」


羨ましそうに俺を見る友人たち。


その前に広がる光景は、俺にとっては地獄絵図。


…さて問題です。目の前には何が…「ちょっと、どいてよぉ！」

「はぁぁ？！何言ってんの？！」 「仁くーん！これ、貰って！」

「抜け駆け禁止！」 「風間様ぁぁ！私の気持ちです！！」


…正解は、たくさんの女子でした。


…断言しよう。ちっとも嬉しくない。


ちっとも、これっぽっちも、微塵も嬉しくなんてねぇよ！


第一…お前らは俺にこんなもの渡してどうするつもりなんだ？


俺、こんなもん貰ったって食わねぇぞ？


それに知ってるだろ？俺にはAっていう可愛い可愛い女がいるのになぁ？


目の前にいる女子はざっと１０人以上はいるであろう…なぁ。


つーかよぉ！こんなに貰ったって食えるかっつーの…それにこんなに食ったら太るし…鼻血出るし…


お前らは俺を豚にでもしたいのか…？そうなのか…？


それでもまぁ、可哀想だから一応受け取っておく。


薄っぺらい笑顔を張り付けながら。


…その時ふと、群衆の中にAを見かけた。


彼女は袋を持って俯いていて、悲しそうっていうか…何で…？


「あっ、…」


俺が声をかけようとして声を発すると、彼女は何処かへと立ち去って行ってしまった。


…仕方ない。リベンジするか。


そう思っていたが…そうはいかなかった。


昼休み、再び群衆に囲まれ放課後は部活仲間に誘われて…




結局、Aとは今日１日話すことができなかった…―――

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