私の彼氏は気分屋すぎて困ります。【短編集】＊zwei

チョコフォンデュ　＜彼ｓｉｄｅ＞ ページ10

「じゃぁ、Aは冷蔵庫から適当に何か出してきて」


「あいっさー！」


元気よく返事をし、びしっ、と敬礼して台所へと消えていった彼女。


そんな様子を苦笑しつつ見、そのあとで目線を大量のチョコに移した。


リボンで飾ってあったり、箱に入ってたりなんか高そうなものだったり。


ありとあらゆるチョコがそこにいようが関係ない。


俺はご丁寧にラッピングしてあった包装を残酷にもびりびりと破く。


あ、もちろんAちゃんのは別枠です。あとでおいしくいただきます。


台所からは冷蔵庫を何度も開閉する音が聞こえてくる。


チョコは皆、少し明るい茶色をした…ミルクチョコレート。


うわ…俺、甘いもの苦手なんだよな。


しかも市販のチョコ丸ごと、少しいじってあったりとか、某有名チョコ店のような何か高そうなのなどいろいろ。


残念でした、女子の皆さま。そのチョコは味わわずに食べていきたいと思いまーす。


全て火にかけた鍋にぶっこみ、ドロドロと溶かしてゆく。


チョコは多く、鍋の溢れるかあふれまいか程まで満たした。


うわすっげぇ…よく溶けるわ、こいつ。


「仁ーッ！！これでいいのーッ？？！」


パタパタと走ってきたAは、材料を入れた皿をドンッ！と豪快に置いた。


中身はバナナ、イチゴ、キウイ、ブロッコリー、ウインナー、細長プレッツェル…。


…っておおおぃ！！


俺は突っ込みたくなる衝動を抑え、頬を引きつらせながらキラキラ笑顔を浮かべるAちゃんを見た。


もしかしてこの子…料理、できないの…？？

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