私の彼氏は気分屋すぎて困ります。【短編集】＊zwei

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「は…？！」


私は驚いて、両目を見開いた。


仁と…別れる…？！


…ちょっと待って、状況を一回整理しよう。


私はコイツに声をかけられ、ここに突き飛ばされて入れられた。


そして何が目的かと問ったら『仁と別れろ』。何故にの命令形。


「い、嫌だよ！私、仁のこと…す、好きだもんッ…」


うわぁ、自分で言って恥ずかしい。私は、今あいつの前では絶対に言えないことを言った。


だけど、言わなきゃ伝わらないから。


私にとって仁は「別れて」言われて「はいそうですか」位で諦められるほどの人じゃないから。


それを桜木さんに言えば、私の彼を想う気持ちは伝わるだろう…と思ったが。


「へ〜え。そうなんだぁ？まぁそうだとは思ってたわ、仁様にベタベタするぐらいですものねぇ。

まぁ別れないんなら力ずくで別れさせるから、問題ないんだけどぉ」


彼女は自分の髪に指を絡めながら、嫌らしそうに言う。


…さすがは親衛隊隊長…退かないなぁ…。


でも、なんかムカつく。


力ずくって何？そんなに仁のことが好きなの？凄く腹立つんですが。


こんな女、力を使えば簡単に〜みたいに思われているみたいで。


だから私は言ってやった。


「やれるもんなら…やってみなっ…！」


私は先ほどよりも鋭く桜木さん…否、桜木を睨み付けた。


「うっざっっ！」 「何なのコイツ！巳波の命令に従わないとか！」


後ろから聞こえる罵倒の声、恐らく女子トイレにいた先客のもの。


会話の内容からして、こいつ等は桜木の味方に違いないだろう。


「従うわけないじゃんッ…！」


反論すると、後ろからクスリという笑い声が聞こえてきたような――気がした。


「巳波ぃー、やっぱここはやってやるべきですよぉ！」


「…？」


そのあとに聞こえた言葉。


『やってやるべき』…その言葉に、私は嫌な予感がした。

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