私の彼氏は気分屋すぎて困ります。【短編集】＊zwei

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「二週間、大変お世話になりましたっ」


私はお礼とともに頭を深く下げた。


それを見て、あははっと笑う水野さんや店長さん。


「一ノ瀬さんは凄くいい人だったからね…君が来てから店の売り上げが伸びて。本当に感謝しているよ」


店長さんの嬉しい言葉。


「そうそ。もうてんちょー超喜んじゃってさ。こっちこそ有り難うね」

「あぁまた右肩下がり」

「だから菅谷、あんたほんと金に目がないよね？！ …まぁいいけど。また機会があったら…ここで働いてよ、待ってるからさ」


東雲さん、菅谷さん、水野さん。


皆の言葉が私の心に深く感動を与える。


「はいっ…有り難う御座いましたっ…！！」


私は流れそうな涙を我慢して、二週間のバイトを終えた。


もし私が優秀な子になれたら、またここでバイトしたいなぁ。


名残惜しそうにお店を出ると外はもう真っ暗で、店外柱に背中をもたれている仁がいた。


「真っ暗だよ。Aのせいで」


彼はこっちの気持ちなんて知らずに、怒りを露骨に表し声をかける。


…ちょっとは私の気持ちも汲んでよ…


このバイトだってさ…『仁の為に』やってるようなものなんだからさぁ。


まぁそんな文句垂れたって、本人に言ってないから通じるわけないんだけど。


「ゴメン…」


私は俯き謝ると、歩き出した。


「…んで。どーしてこんなことする気になっちゃったのかな？」


「それはねっ…お楽しみって言いたいんだけどさ。それを仁が許すわけないよねっていう」


「ったりめーだ」


仁はバスケボールを掴むかのように、私の頭をガッシリと掴んだ。


…流石バスケ部。凄く力籠もってる痛い。


本当はネタばらし、したくなかったんだけどなぁ。


「…えっとね。それはサプライズ」


「Aの新しい男にか？」


「違うッ！あのさ…仁今度誕生日でしょ？だからさ、何か買ってあげたくて…それで」

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