8 ページ29
「…ぁ…!」
喉がつっかえて、声が上手く出ない。
私は思わず、一歩後ずさった。
何で…何で何で何で。
このことは雅も知らないのに、どうして。
まさか、尾行してきたとか…?
…そんなことはどうだっていい。
まさかこのタイミングで…最終日っていう、今日に限ってバレるなんて…――!!
「Aだよね?こんなところで何してんのかなっ」
ニコッと笑う仁。
その笑顔は、私を快く送り出してくれた教室の笑顔とは違う。
裏がある笑顔…
「さ…さぁ?私、ええと…A?そんなひと知りません」
ここは他人のふりしてスルー作戦。…しかし。
「ふぅん?別人かぁ…よく似た人が居るもんだねぇー」
「世の中にはそういうことあり得ます」
ドッペルゲンガーとかね。
それでも、仁は退かなかった。
「見苦しい言い訳はやめたら?解ってるんだから。A、これは理由を聞いてもいいかなぁ…?」
彼はニヤッと笑うと、私に素早く近づき腕を掴む。
「な、何してるんですか!放してください!」
「店長さーん!ちょっとこの子借りていきます!」
「ちょ、君…!」
答えたのは店長さんではなく水野さんだったが、彼女の叱責を無視して仁は私の腕を引っ張った。
どこかへと引っ張り出され、連れてこられたのは暗い裏路地。
道はふさがっていて、行き止まりっていう最悪の場所。
仁はその隅に、ドンッと私を押しつけた。
彼は私より背が高いため、どうしても私から見ると見下されているようになるが…私は顔を上げずに俯いていた。
「…っと。まずはAかどうか確かめないとね」
仁は私の耳元に口を寄せると、ふぅっと息を吹きかけた。
「ひゃうっ??!」
生暖かい息がかかって、私は思わず変な声を上げてしまう。
「やっぱりAだね。実は弱点な耳といい、そのえっろい声とか」
「えろいとかいうな変態仁っ! …あ」
言ってしまった、そう思いはっとするも時既に遅し。
「ほぉらAだぁ。何が別人だ。
…さてと、Aちゃんや。これはどういうことなんだい?」
「言わなきゃダメ?」
「もちろん」
「じゃぁ言えない。というか…言えないの」
反論すると、顎をグッと捕まれてあげさせられる。
「えぇ口答えぇ?俺の言うことが聞けないの?
そっか、悪い子だね。悪い子にはお仕置きしなきゃぁ」
69人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
フィーア―vier―(プロフ) - ゆあんさん» コメ有り難う御座います!この時間なのでこんにちはになってしまうかな?w ありゃぁあ…そんな顔文字をつけてまで続きが気になるだの言われちゃったら嬉しくなるじゃありませんか。←嬉しいです。受験生ですが、頑張って更新させていただきます。 (2014年7月21日 17時) (レス) id: 9333c965f2 (このIDを非表示/違反報告)
フィーア―vier―(プロフ) - 莉羅さん» コメ有り難う御座います!うわぁ!そんなに「っ」をつけて面白いと言っていただけると、それだけ面白いってことが伝わってきて…あああもう感激です!!受験生のため、更新はかなり遅くなりますがこれからも頑張らせていただきます! (2014年7月21日 17時) (レス) id: 9333c965f2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆあん - こんばんは!凄く面白いです!続きが気になります(*´∇`*)更新頑張ってください(p^-^)p (2014年7月12日 20時) (携帯から) (レス) id: 1daf510f09 (このIDを非表示/違反報告)
莉羅 - とっっっても!面白いです!!頑張って下さいぃぃ! (2014年7月7日 19時) (レス) id: db9ded1328 (このIDを非表示/違反報告)
フュンフ ―funf―(プロフ) - 龍崎花音さん» どもども☆フュンフ(フィーア)で御座います((便乗乙 うにゃぁ?!こんなのを面白いとな…!やっぱりですね、嬉しいです。感想をいただけるのも勿論新たなお方から貰えるのなんてもっと…!!(〃'▽'〃) これからも頑張って更新していきたいと思います!! (2014年6月18日 18時) (レス) id: 9333c965f2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:肆 | 作成日時:2014年2月14日 18時