1. prologue ページ1
『はぁ、ハァ…寒い。』
今の季節真夜中に可愛い娘を外に放り出すとは何事だよ!全く!
1月ですけど!?冬まだ只中なのに何考えとるんじゃ!!
あの親は…
「出て行け!!まともに稼げない娘なんていらない!」
__お前らが稼がないからだろ
「バイトの掛け持ちで稼げない楽な所ばっか選んで私たちに当てつけか!?ふざけるな!!」
__朝も昼も夜もバイト漬けの何処が楽なの…
「恩を仇で返すな!子供を教育する義務があるなら育ててもらった親に恩を返すのが子供の義務だろ!!」
__義務が無かったら…私は育ててもらえさえしなかったの?
「役立たず!アンタなんて…!私が産んだ子どもじゃ無い!!その憎たらしい顔でこっちを見ないで!」
__都合が悪くなったら私は娘ですらなくなるの?
「タダでさえ迷惑な存在だったのに…!!もう我慢の限界だ!!そんなヤツはいらない!さっさと出て行け!!生きてるだけでもありがたいと思え!!」
__使えない娘でごめんなさい…生きてる方が、つらかった
いつからだろう。家がおかしくなってしまったのは…。
いつからだろう。私が私でなくなってしまったのは…。
『は、ハハ。』ポロポロ
寂しいし悲しい。あんなんでも親は親だった…。
行くところも帰るところもお金もない。
持ってるのは保険証とかだけ…
真冬真っ只中に外をぶらついていたら当然、
『クチュン!あ”ぁー寒い…』
歩くたびにすれ違う温かい家庭風景を見るのが嫌になって近くの海まで走った。
胸の中にある気持ちを掻き消すくらいに。
『ハァ、ハァ、ハァ、』
ザァーザァー
海の音は落ち着くってテレビでやってたなぁとぼんやり眺めながら月が反射する海を体育座りで見つめていた。
なんだろう…見つめているうちにどんどん、
『視界が、ボヤける』
あれ、なんか、息が苦しい
『ゼェ、ゼェ、』
死ぬ、のかな?
バタンッ
____変な夢をみた。
____ずっと氷のような寒い所だったのに
____“何か”が触れて温かくなった。
____それはゆっくりと包み込むように伝線していって
____体を覆うように包まれた。
____不思議と安心する変な感覚
____ずっとこの場所にいたい
____他のところに行きたくない。
誰かが言った。
〈貴方の居場所はここじゃない。いってらっしゃい私たちのロビン〉
ーロビン達に我らの加護が在らんことをー
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作者名:柴ぬい | 作成日時:2023年3月29日 2時