33話 自信 8 ページ33
「あなたアイドルなのよ! 自覚あるの? あなたの顔に傷がついたらどうなるか…」
「わかった。落ち着けって。俺は大丈夫だから」
興奮して捲し立てる姉貴を宥めるように抱きしめて頭を撫でる。
さて、この男をどうしようかと目をやると、なにか布が下敷きになっていることにきづいた。
「っ姉貴! これ衣装じゃねえの?」
「あ、そう。持ってかれちゃって…」
「持ってかれた!? こいつに!?」
まさか目当ては姉貴の衣装だったのか?
呆れすぎてものも言えない。
慎重に衣装を救出する。
「あ、え」
「あー…破けちゃったわね。そりゃ取り合いしたから…はは」
「いやどうすんだよ!? これ今から着るヤツだろ!?」
「まあ落ち着いてよ…」
落ち着けるわけ無かった。
姉貴の舞台が始まる前からめちゃくちゃにされた気分になって腹立たしい。
どうすればいいか、それだけが頭の中でぐるぐると回る。
「いた! 楽!!」
「龍」
その時龍が警備員を引き連れてこちらへやってくるのが見えた。
男は警備員に連行され、その点は一安心だが、問題は解決してない。
「Aちゃん大丈夫? 楽も…怪我はなさそうだな」
「龍、ありがとう。大丈夫よ」
「…それ、衣装ですよね」
「ええ」
糸がほつれ、目立つところが破れている衣装。
天は目を細める。さすがの天も策は見つからないようだ。
それよりも、冷静な姉貴が信じられない。
「姉貴、そんなのんびりしてる場合かよ!」
「大丈夫。楽たちは心配しないで」
「んな事言ったって!」
こんな状況、自分に置き換えたら最悪だ。
もし本番直前に衣装が破れたら、落ち込むどころじゃない。
だが、LiLiは依然として真っ直ぐな目で先を見据えていた。
「まあ、見ててよ。来てくれてありがとう」
「姉貴…」
姉貴は俺の頭を撫でてすくっと立ち上がる。
悲惨な状態の衣装を抱えて、凛として歩いていく。
俺たちは呆然とその姿を見つめていた。
「Aちゃん、大丈夫なのか…?」
「信じるしかないでしょ。楽のお姉さんだもん。大丈夫だよ」
「天…」
天はそれだけ言って、「席に行くよ」と踵を翻す。
俺と龍はそれについていくことしかできなかった。
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ききみ(プロフ) - kiraさん» はじめまして！ありがとうございます！！ (2018年3月6日 19時) (
レス) id: acfb49be03 (このIDを非表示/違反報告)
kira(プロフ) - はじめまして！最終話まで読みました！ もう感動です！！これからも頑張ってください！ (2018年2月17日 23時) (レス) id: 0dfb0f50b9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ききみ | 作成日時：2018年2月1日 23時
