32話 不慮 8 ページ32
「楽しみだな。楽、天」
「そうだね」
「……」
「どうしたの楽。トイレならあっちだよ」
「ちげーよ! …姉貴、大丈夫かって思っただけだ」
「全然会えてないんだろう? 今日はしっかりAちゃんの姿を見てあげよう」
「……そうだな。楽屋はこっちか」
龍と天と3人で姉貴の楽屋を目指す。
俺は龍の言う通り、姉貴の姿を目に焼き付けようとした。
「……どこに行った!」
「くそ、見失った」
「……?」
何やら騒がしい。
声のした方に目をやると、警備が数人で固まっていた。
俺と龍がその姿に疑問をもっていると、天がすかさず、静止も聞かずに割り込んでいく。
「何かあったんですか?」
「く、九条さん!? あ、そ、それが」
「関係者以外が立ち入ったようで、危険人物かもしれないので探しているんです」
「え!?」
龍が驚いた顔をした。
俺も嫌な汗が出る。
ここには姉貴もいるだろうし、そんな得体の知れない奴がうろついているなんて、考えたくない。
「……警備が甘かったんじゃないですか。今日、動員数が多いの、わかってますよね?」
「は、 はい…すみません」
天もイラついたような態度を出す。
俺は、どうやってそいつを捕まえようか考えていた。
龍も、慌てたような様子で天と警備員を見ている。
「…っ待ちなさい!!」
その時聴こえてきた声に俺たちは振り向いた。
久しぶりに聴いた、間違いない。
姉貴の声だ。
俺はいてもたってもいられなくなって声のした方に走り出す。
「っ姉貴!!」
「が、楽っ!! あの人がっ…!」
おそらく、自分の楽屋の前に立っている姉貴。
久しぶりの再会だというのに、その感動に浸っている場合ではなかった。
姉貴が指を指した方を向くと、いかにも怪しげな男が走り去っていくのが見える。
「待て!!」
「楽! ちょっと気をつけて…!!」
姉貴の心配の声も他所に、俺はそいつを追いかける。
着々と距離が縮まっていくのがわかり、鍛えててよかったなんて余裕をかました。
「っこの!」
「う、うわ!!」
追いついて、取り押さえる。
警備員が言っていた危険人物とは、こいつで間違いないだろう。
姉貴に危害を加えたかもしれないこいつが憎い。
「っ楽…!」
「…姉貴」
俺に追いついて来た姉貴。
息を切らして、少し怒ったような顔をしていた。
「バカ!! あんた怪我したらどうすんの!」
まず、怒鳴られた。
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ききみ(プロフ) - kiraさん» はじめまして！ありがとうございます！！ (2018年3月6日 19時) (
レス) id: acfb49be03 (このIDを非表示/違反報告)
kira(プロフ) - はじめまして！最終話まで読みました！ もう感動です！！これからも頑張ってください！ (2018年2月17日 23時) (レス) id: 0dfb0f50b9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ききみ | 作成日時：2018年2月1日 23時
