25話 拙劣 ページ25
「いい機会だ。解放してやろう。ほんとは、こんなことであいつのアイドル人生を絶つつもりはなかったがな。あいつの収入には、今後期待せず…」
「…っふざけるな!!」
楽は父親に掴みかかる。
ぎりぎりと力を加えていく。
許せなかった。
自分の都合で姉を飾り付けて見世物にした父親も。
何もできなかった自分も。
「なんで、姉貴がここまでアイドル続けたか、お前にはわかんねえのか」
「楽、やめ」
「お前のために決まってんだろ!!」
「…っ」
きっと姉は、初めこそ楽のために動いてたかもしれない。
しかし、彼女の中の目的は少しずつ、楽が売れ始めてから変わっていたはずだ。
―全ては、自分の父親のために。
「……」
「…後悔するぞ。姉貴に優しい言葉をかけてやんなかったことも。こんな形で切り捨てることも…!!」
「……楽」
「姉貴が完全に壊れる前に手放すのは褒められることかもしれねえ。」
「でもな、こんな事態を防げるのは、あんたしかいなかったんだ…!」
楽は悔しげな顔で父親を睨む。
この時、初めて父親の表情に変化があった。
「……」
「…帰る。じゃあな」
乱暴に手を離し、バタンと扉を開けて楽は出ていく。
宗助は短くため息をついて、椅子に座る。
「……A」
宗助は、娘の名前を呟く。
その声には、確かな愛情がこもっていた。
「………すまない、俺は」
潰れそうな声で彼は呻いた。
「………ああ、私だ。―すまないが頼みがある」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 170人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「アイドリッシュセブン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ききみ(プロフ) - kiraさん» はじめまして！ありがとうございます！！ (2018年3月6日 19時) (
レス) id: acfb49be03 (このIDを非表示/違反報告)
kira(プロフ) - はじめまして！最終話まで読みました！ もう感動です！！これからも頑張ってください！ (2018年2月17日 23時) (レス) id: 0dfb0f50b9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ききみ | 作成日時：2018年2月1日 23時
